そのため従業員に運動を勧める企業は多いですが、運動習慣のない従業員が運動を続けるのは非常に難しいです。従業員が楽しく前向きに運動を継続するには、オフィスで気軽にできる運動を取り入れることが重要です。

当記事では、日本人の運動習慣の現状や座りすぎによって発生する健康リスク、企業としてできる取り組みを紹介します。

従業員の運動不足に強い課題意識を持っている企業は、ぜひ参考にしてください。

 

日本人の運動習慣の現状

現代人は毎日忙しい日々を送っているため、運動が習慣化されていない方は非常に多いです。

2019年に厚生労働省がおこなった調査では、「1回30分以上の運動を週2回以上、1年以上持続している人」は男性の33.4%、女性の25.1%ほどです。

出典:厚生労働省 身体活動・運動

 

また2014年の調査では、「健康に気を付けるようにしているか」という質問に対し、全年齢で46%の人が「何も行っていない」と回答しています。

出典:厚生労働省 健康をめぐる状況と意識

 

20〜39歳の若い世代だけでみると「何も行っていない」人が55.2%と半数以上であり、個人で健康に関する取り組みを継続するのは難しいとわかります。また健康に対して「何も行っていない」と回答した理由は、次のとおりです。

出典:厚生労働省 健康をめぐる状況と意識

 

調査の結果から、健康に対する意識の低さは運動不足につながっているといえます。

また健康に関してどのような取り組みをすればよいかわからない、取り組みをしている時間がない、といった理由もありました。

しかし運動不足の状態では筋肉量が低下し、生活習慣病のリスクも高まります。

特に近年は新型コロナウイルスの影響で外に出る機会が減り、運動の頻度がますます少なくなっています。

健康に毎日を過ごすため、従業員が長い時間を過ごすオフィスにおいて企業が主体となり運動の重要性を伝えることは非常に大切です。

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座りすぎによって発生する健康リスク

オフィスで従業員が直面する健康問題は、運動不足を発端とする心身の不調だけではありません。座りすぎも、健康リスクを高める大きな要因です

座る時間が長すぎると身体の筋肉が使われないために血中の中性脂肪が増え、死亡リスクが高まります。

厚生労働省の発表によると、1日11時間以上座る人は0〜1時間しか座らない人と比べ、1.4倍も相対危険度(死亡リスクを表す指標)が高くなります。

出典:厚生労働省 座位行動

 

また座る時間が長いと2型糖尿病になるリスクも高まります。2型糖尿病とは血糖値が上がり、疲労感や眠気、吐き気などの症状につながる病気です。

調査の結果、1週間当たりのテレビ視聴時間が40時間以上に及ぶ人は0〜1時間だけの人と比べて1.7倍も2型糖尿病の相対危険度が高くなります。

出典:厚生労働省 座位行動

テレビを視聴しているとき多くの人は座っているため、座位時間が長いほど2型糖尿病のリスクは高まるといえます。

従業員には座りすぎによるリスクを知ってもらい、オフィスだけでなくプライベートでも座位時間を短くするよう意識してもらうことが大切です。

またデスクワークの場合、適度に立ち上がり体操やストレッチをして身体を動かすよう促してください

 

オフィスで従業員の健康をサポートするメリット

運動不足の従業員をサポートする方法はさまざまですが、とくに効果的なのはオフィスで取り組める施策です。企業がオフィスで運動を促進するメリットについて、解説します。

 

従業員の健康リスクに対策できる

運動不足の状態だと、高血圧や肥満、糖尿病といった生活習慣病を誘発する危険性が高まります。

しかし普段から職場で身体を動かしていれば、病気やけがをしにくい丈夫で健康な身体を作れます

身体的ストレスが表面化し健康被害が出てからでは遅いため、健康リスクが高まる前に手を打つことが大切です。

 

運動習慣がない人も取り組みやすい

従業員が長い時間を過ごすオフィスにおいて取り組みを行えば、より多くの従業員を巻き込んで運動の重要性をアピールできます。

また会社として運動に関する取り組みを行うことで、従業員の健康を重視する姿勢も伝わります。

さらに会社が一丸となって施策を実行すれば従業員同士が声を掛け合い一緒に運動するようになり、挫折しにくいです

身体を動かすことに抵抗感を持つ従業員に対しては、運動に関する取り組みを社内全体で一緒に行うことが重要です。

 

従業員の満足度が上がる

健康を意識したオフィスでは従業員が元気に働けるようになり、仕事に対する満足度も上がります。従業員の満足度が上がれば、離職を防げる可能性もあります

また従業員の健康を気遣う企業に入社したいと考える人が集まり、応募率向上にも期待できます。従業員の健康を重視する姿勢を、積極的な施策でアピールすることが大切です。

 

プレゼンティーズム・アブセンティーズムを軽減できる

プレゼンティーズムとは、心身の不調を抱えながら就業しているために仕事のパフォーマンスが十分に上がらない状態のことです。

またアブセンティーズムとは病気やけがで休業しており、仕事ができない状態のことです。

どちらに関しても企業にとっては大きな問題であり、早急な解消が必要といえます。

プレゼンティーズム・アブセンティーズムを軽減するには、従業員の健康維持が大切です。オフィスで手軽に実践できる運動を取り入れ、心身の不調を解消してください。

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健康経営オフィスとは

従業員の健康を維持・増進するには、快適なオフィス環境も重要です。従業員が自分の力を最大限発揮できるよう、健康経営オフィスを作りましょう。

健康経営オフィスとは、健康を保持・増進する行動を誘発することで、働く人の心身の調和と活力の向上を図り、一人ひとりがパフォーマンスを最大限に発揮できる場です。

従業員の健康を保持・増進するには、次の7つの行動を意識したオフィスづくりが重要です。7つの行動と、行動を達成するための施策例は、次のとおりです。

  • 快適性を感じる・・・音や光、香り、部屋の温度が心地よい
  • 体を動かす・・・体操やストレッチ、健康器具の利用、スタンディングワーク
  • コミュニケーションする・・・挨拶、他の従業員と共同で作業を進める
  • 健康意識を高める・・・体重計に乗る、血圧を測る
  • 適切な食行動をとる・・・昼食の摂り方を見直す、間食をとる
  • 清潔にする・・・手洗いうがい、掃除、分煙、禁煙
  • 休憩・気分転換する・・・雑談、休憩、音楽を聴く

まずは厚生労働省の資料を確認し、必要な行動や効果を確認してください。そして現在のオフィスを見直し、達成できていない項目を探しましょう。

参考:厚生労働省 健康経営オフィスレポート

 

次の章では7つの行動を活かした具体的な施策を紹介します。

 

オフィスで従業員の運動不足を解消する方法

運動不足は身体を動かせば解消できるものの、実践できていない人は多いです。

そこでここからは先ほど紹介した7つの行動をもとに、運動に関して企業が取り組める具体的な施策を解説します。

 

スタンディングワークを導入する

スタンディングワークを導入し立ってデスクワークを行えば、血流が促進され足の筋力低下を防げます。

一日中座って作業していると、血流が悪くなり体に負荷がかかります。立った状態で仕事をするスタンディングワークを取り入れ、座位時間を短くしてください。

スタンディングワークの導入は、場所と時間が限られている企業におすすめです。

ただしスタンディングワークでは通常より高さのあるデスクが必要であるため、デスクを検討・購入するなどの準備を前もって進める必要があります。

 

運動スペースを確保する

休憩時間を利用して従業員が軽く運動できるスペースがあれば、運動に対するハードルが下がります。

筋トレやストレッチのための道具を用意し、より快適に運動を楽しめる環境を整えてください。

ハンドグリップ(握力を鍛えられるグッズ)やストレッチポール(体幹トレーニング用のグッズ)のように小さく気軽に利用できる健康器具であれば、運動習慣のない従業員も挑戦しやすいです。

 

筋トレ・ストレッチの方法を紹介する

ストレッチで得られる効能は、伸縮させる筋肉や体の部位によって異なります。肩こりや猫背など従業員の悩みに沿ったストレッチを紹介し、複数人で取り組むよう勧めてください。

運動を始めた初期の段階では、YouTubeを視聴しながら従業員同士で一緒にエクササイズするだけでも十分です。無料でできる取り組みから始めてください。

ある程度従業員の健康意識が高まってきたら、専門のインストラクターをオフィスに呼べるサービスを検討してください。

運動のプロから質の高い指導を受ければエクササイズの効果を大きくできるだけでなく、さらなるモチベーションアップにもつながります。

 

運動に関する情報を周知する

運動に関する情報をオフィスで周知すれば、運動に対し前向きな雰囲気を作り出せます。

TeamsやSlackといったビジネスチャットツールに健康情報を投稿する、MTGで管理職が運動するよう呼びかけるなどして、運動に関する話題を増やしてください。

また従業員が参加できる運動イベントの開催もおすすめです。イベントは広く告知し、一人でも多くの従業員に参加してもらうことが大切です。

このとき広報活動にどれだけ力を入れるかが参加率に大きく影響します。個別で管理職や若手社員にも声かけをしてもらうことが重要です。

イベント開催にあたって、総務や産業保健スタッフだけが奮闘する必要はありません。経営資源に影響を与える重要なことであるため、会社が一丸となって取り組んでください。

 

オフィスの設備を見直す

オフィス設備を見直すことで体への負担が軽減され、腰痛や肩こりを予防できます。従業員の健康維持のため、次の観点からオフィス設備を見直してください。

  • デスクに十分な広さはあるか
  • リフレッシュできる休憩室や仮眠室は設置されているか
  • 腰への負担を軽減できる椅子を利用しているか

椅子に関しては、デスクワークを行ううえで非常に重要なアイテムです。従業員の運動量を増やしたい場合、椅子をバランスボールに変えるといった工夫も効果的です。

参考:厚生労働省 健康経営オフィスレポート

 

従業員の健康には継続した運動が大切

健康維持のためには、オフィスで運動できるよう工夫することも重要ですが、運動をプライベートで継続してもらう取り組みも必須です。

息が上がる運動を30分程度、週に2〜3回行うことがベストとされているため、理想的な運動量を従業員に周知し意識を高めてください。

しかし運動習慣のない人がいきなり運動メニューをこなすのは難しいので、運動習慣が身に付くツールを導入するのがおすすめです。

企業向け福利厚生アプリKIWI GOでは、歩数を記録し従業員の運動習慣をサポートします。

歩数に応じて貯まるコインはごほうびに交換できるため、従業員のモチベーションを高く維持できます。

またグループチャットでの交流機能も運動継続に効果的です。一緒に運動する仲間がいれば、コミュニケーションの機会も増え前向きな気持ちで取り組めます。

KIWI GOなら月額500円という少額の投資で、手軽に運動の習慣化を促せます。

実際にKIWI GOを導入した企業のなかには、1日・1人あたりの平均歩数が1000歩以上伸びた事例もあります。

より効果的に従業員の運動習慣をサポートするなら、KIWI GOがピッタリです。

 

まとめ:オフィスをきっかけに運動を習慣化することが大切

現在は多くの方が運動不足に陥っていますが、「健康のために何をしたらよいのかわからない」「時間がない」という理由で運動の習慣化が難しい状況です。

疾病リスクを減らすため、従業員が長い時間を過ごすオフィスにおいて運動を促進する取り組みを実施してください。

従業員に健康でいてもらうためには、経営陣が中心となり全従業員に運動促進・健康の意識づけを行うことが大切です。

会社の経営陣や上層部が積極的に働きかける形で、社内全体に運動の効果を伝えてください。

KIWI GOなど楽しんで運動を継続できる福利厚生アプリを活用すれば運動が習慣化され、より高い効果が見込めます。

必要なツールは積極的に導入し、全社で取り組みを実施してください。