健康経営の基本として、多くの企業で推進されている健康診断。
本格的に健康経営を進めていくにあたって、健康診断に力を入れていきたいと考えているものの、なかなか受診率が上がらないとお悩みの方は多いでしょう。

また健康診断への取り組みについて、現状どのような点に問題があるのかよくわからないと感じる方もいます。

そこで本記事では健康診断が重要な理由と受診率の現状、受診率アップのコツを解説します。健康診断の結果を活かすポイントも紹介するので、ぜひ参考にしてください。

健康診断の実施は義務化されている

労働安全衛生法66条により、健康診断の実施は義務化されています。

そのため義務化されている健康診断を実施することは、企業として最低限必要といえます。

実施の義務に違反した場合は罰則もあるため、規定に沿って義務となる健康診断が実施できているか詳細に確認してください。

ここからは、健康診断について義務化されている内容を簡単に紹介します。

義務化されている健康診断の実施項目

労働安全衛生法により義務化されているのは、一般健康診断と特定健康診断の2種類です。

業務内容により受診が必須となる項目は異なるので、従業員別に業務内容を正しく把握して必要な検査を受けてもらう必要があります

具体的な実施項目については、以下の記事で詳しく解説しています。健康診断実施のタイミングについても確認してください。

あわせて読みたい:会社が行うべき健康診断とは?義務化されている内容について解説

健康診断の対象者

健康診断は、原則として企業で働いている従業員全員に受けてもらう必要があります。

週所定労働時間の4分の3以上の労働をしている契約社員やパート労働者にも、健康診断を受けるよう呼びかけてください。

また期間の定めなく働いている方、契約により1年以上働く予定の方も雇用形態にかかわらず健康診断の対象です。

雇用形態、労働時間が多様化しているいま、改めてどの従業員が健康診断実施の対象となるのか確認することが重要です。

参考:厚生労働省 労働安全衛生法に基づく健康診断を実施しましょう~労働者の健康確保のために~

健康診断が健康経営に必要な理由

健康診断の実施は義務であり、企業は必ず実施しなければいけません。特に健康経営において、それ以上に健康診断は非常に重要です。

ここからは、健康診断が健康経営に必須といえる理由を3つ解説します。

従業員が自身の健康状態を把握できるから

健康診断を定期的に実施し、従業員に健康診断の結果を確認してもらうことで、従業員は自身の体調の変化を確認できます。

前年度と比較することで生活習慣見直しのきっかけになれば、疾病予防に繋がります。

従業員が健康に問題を抱えたままでは思うように仕事に打ち込めなかったり、従業員にとっても企業にとっても悩ましい結果となるでしょう。

従業員が健康に働く第一歩として、数値で健康状態を具体的に示せる健康診断の実施が重要です。

従業員の健康意識が高まるから

健康診断を定期的に受診することで、従業員が自身の体と向き合う時間が生まれます。

診断の結果に問題があれば医師と話すこともできるため、疾病予防の意識が生まれ従業員の健康に対する関心が高まります。

結果として健康セミナーやイベントに参加してみたいと感じる従業員が増え、健康経営施策の効果が出やすい環境が整います。

健康診断の結果を健康施策に活かせるから

健康診断は企業が主体となり実施するため、結果を確認したうえで、健康経営施策に反映させることが可能です。

またけんぽ組合に加入している場合、自社の健康診断の結果を全国の同じ業種の会社と比較できます

結果のレポートで、自社ならではの課題を深くチェックしてください。

専門家からのアドバイスを具体的な施策に繋げ、会社から従業員一人ひとりに適切なケアを施すことで、従業員の健康意識、会社への満足度が上がります。

さらに従業員が健康になれば仕事の効率もよくなり、最終的には生産性向上に繋がるでしょう。

日本における健康診断の受診率の実態

公益財団法人日本対がん協会の調査では、東証一部上場企業において定期健康診断の実施率が100%の企業は約半数であり、実施率90%未満は1.6%しかない状況です。

参考:公益財団法人日本対がん協会 東証一部上場企業を対象にした健康経営に関する調査報告

しかし、非一部上場企業を含めたデータでは、受診率の全体平均が88.6%にまで落ちています

参考:厚生労働省 労働安全衛生法に基づく定期健康診断

つまり健康診断は義務化されているにもかかわらず、特に非上場の中小企業において、100%の受診率を達成できていないことがわかります。

日本における健康診断の受診率をより高めるには、非上場の中小企業における取り組みが重要です。

健康診断の受診率が100%にならない理由

厚生労働省によると、健診等を受けなかった理由のランキングは次のとおりです。

  1. 心配な時はいつでも医療機関を受診できるから
  2. 時間がとれなかったから
  3. めんどうだから

参考:厚生労働省保険局総務課医療費適正化対策推進室 今後の特定健診・保健指導の実施率向上に向けた方策について

上記は雇用されていない人を含むデータですが、全体として健康診断が病気の早期発見に繋がること、早期発見が重要なことが知られていない可能性が高いとわかります。

また時間が取れない、面倒などの理由で健康診断を受けていない方も非常に多いです。

そのため、企業として健康診断の受診に前向きになれない理由を把握し、適切な対処法を考えることが重要です。

健康診断の受診率を上げる方法

健康診断の受診率を上げることで従業員の健康意識が高まり健康経営に繋がります。

ここでは、なかなか健康診断を受けない従業員に対して、企業が取れる対処法を4つ紹介します。

健康診断を受けるメリットを具体的に伝える

健康診断を受ければ病気を早期発見できるため、大きな健康トラブルの予防が可能です。

例えば、がんにはステージがあり、早期発見ができれば死亡率も下がります。

実際に全がん協加盟施設生存率協同調査によると、ステージが低いほど5年生存率は高くなります。

参考:全がん協加盟施設生存率協同調査 全がん協部位別臨床病期別5年相対生存率(2011-2013年診断症例)

上記のような具体的なデータで、病気の早期発見が重要であること、健康診断を受けることが大切であることを伝えてください

健康診断の重要性を周知する際は、伝え方も重要です。

時間を作って健康診断についての説明会を実施すれば、会社が健康診断を重要視する姿勢が伝わります。

従業員によっては、健康診断の実施義務について知らない方もいます。

制度に詳しい人事部門の従業員から、健康診断の実施義務と必要性、受診のメリットを直接伝えてください。

健康診断日を指定する

会社が健康診断の受診日を設定し、健康診断の受診が義務であると伝えることで受診率はアップします。

ただし都合のつかない従業員もいると考えられるため、別日にも受診日を設定してください。

受診率をさらに上げるためには、業務中に健康診断の時間を作るのも効果的です。

業務時間中であれば忘れず健康診断を受診できる可能性が高まり、多くの従業員が健康診断を受診できるようになります。

また職場全体で業務調整を行うことで、健康診断を受診できる環境が整うため、従業員個人が日程を調整する負担が減少します。

健康診断の案内を繰り返し行う

健康診断の受診を忘れてしまう従業員は少なくないため、健康診断を受診していない従業員に対しては諦めずに繰り返し案内を行いましょう。

ただし健康診断をあえて受診しない従業員もいると考えられます。

繰り返し案内をしても反応がない場合、十分に配慮した環境で個別の事情を確認してください

条件を満たした従業員に手当や特典を用意する

健康診断を受診した従業員に記念品を用意すれば、受診へのモチベーションが高まります。

また健康状態が一定の基準を満たした方に手当を支給することで、健康を維持しよう、現在の健康問題を解決しようと考える従業員が増加します。

身体的な健康に関する問題を予防する目的であれば、健康増進手当の支給を検討してみましょう

健康増進手当のメリット、導入のポイントは次の記事で詳しく解説しているので、ぜひ参考にしてください。

あわせて読みたい:健康増進手当とは?健康投資で従業員の健康意識が変わる!

健康診断の結果を健康経営に繋げるには

健康診断をただ受診してもらっただけでは、健康習慣に繋がりません。

企業側が積極的に動き、健康診断後も従業員の健康維持に関して働きかけることが重要です。

ここでは、健康診断の結果を健康経営施策に繋げるポイントを解説します。

健康診断結果のチェック方法を伝える

オフィスワークを中心とする多くの従業員にとって、健康診断の受診頻度は年1回です。

健康診断を受けた直後は健康意識が高まっていたものの、数日でやる気を失う可能性は高いでしょう。

そのため健康診断の結果をどのように確認すれば良いのか細かく伝え、自身の体に関する問題点を具体的に把握してもらってください。

また課題に沿った解決方法をそれぞれ具体的に示すことで、長期的に健康意識を保てる従業員が増加します

企業として健康課題ごとに取り組むべき内容を具体的に明示した表を作成しておくと、健康のために何をすれば良いのかがわかり、従業員のやる気が持続します。

健康についての不安を話せる場を作る

健康診断の結果が良好でなかった場合、強い不安を感じる従業員は少なくありません。

従業員が安心して働けるよう、ちょっとした不調でもすぐに相談できる場を作ってください。

直属の上司には相談しにくいケースもあるため、専門の産業医やカウンセラーと面談できる場があれば理想的です。

窓口を用意したら、相談可能な時間や相談の申し込み方法などを周知してください。

気軽に相談しても問題ないこと、プライバシーはしっかりと守られることを繰り返し伝え、従業員との信頼関係を築くことが重要です。

参考:厚生労働省 社内相談窓口設置までの流れとポイント

医師のアドバイスを受けて施策を見直す

健康診断実施後は必ず医師からのアドバイスを受け、今後の施策に繋げましょう。

例えば、食生活の乱れが問題の場合、アドバイザーによるセミナー開催、食事補助手当の導入などが効果的です。

また担当業務が多く休みにくい環境がある場合、マニュアル作成による業務の標準化に取り組み、担当者以外でも業務を実施できる環境を整備することも1つの方法です。

中小企業向け健康経営施策に関しては、次の記事でも詳しく解説しています。

さまざまな企業のアイデアを参考にして、自社の課題に適したものを導入してください。

あわせて読みたい:中小企業こそ健康経営を|重要性や課題毎の取り組みアイデアを解説

ツールごほうびやイベントで健康習慣構築のきっかけを作る

健康診断を受けることで高まった意欲が失われないうちに、健康や運動に関するイベントを開催してください。

従業員が幅広く参加できるイベントを健康診断後に開催すれば、健康に対するポジティブな意識が強まります。

健康イベントの成功例と企画方法については、次の記事も参考にしてください。

あわせて読みたい:従業員が参加したくなる!健康イベントの成功例と企画の手順を解説

また持続的に運動習慣を構築してもらうには、運動に関連するごほうびの導入が大切です。

ちょっとしたごほうびがあれば、運動の目的が明確になりモチベーションが高まります。

ごほうびを会社で用意するのが難しい場合、運動習慣化に特化したツールの導入がおすすめです。

運動習慣の構築にはKIWI GOがおすすめ

健康診断の結果、運動不足による問題が大きいと考えられる場合は従業員に無理なく運動習慣を身につけてもらえる施策の導入が必要です。

運動は身体だけでなく、メンタル面にもポジティブな影響をもたらします。

定期的な運動によりストレス耐性、集中力が高まれば、副次的に仕事の生産性もアップするでしょう。

あわせて読みたい:今話題の運動脳とは?体を動かしパフォーマンスアップに繋げる取り組みを紹介

企業向けアプリKIWI GOには交流機能があり、従業員が一体感を持ってウォーキングに取り組める工夫が盛り込まれています

ごほうび機能もあり、運動に苦手意識を持っている従業員もゲーム感覚で継続できます。

運動不足を課題としている企業は、ぜひKIWI GOの導入を検討してみてください。

まとめ:健康診断の結果を従業員の行動に繋げることが重要

健康経営においては、まず健康診断を受診してもらうことが重要です。

健康診断をきっかけとして自身の健康に興味を持ってもらい、会社全体として健康意識を高めてください。

ただし受診してもらうだけで終わるのではなく、結果を次に活かす必要があります。

健康診断受診で高まった従業員の意識を今後に繋げるため、ごほうびやイベントを導入して健康習慣の構築を目指してください

KIWI GOには運動習慣構築の工夫が多数施されており、運動が苦手な従業員も楽しく運動に取り組めます。

さらにイベント開催機能、チャット機能もありコミュニケーション機会の創出にもおすすめです。

健康診断の結果が気になるタイミングでKIWI GOを導入し、運動に取り組むきっかけを用意しましょう。