現在、運動と脳との関係について書かれた本『運動脳』が話題です。新型コロナウイルスの影響でテレワークを導入する企業が増加し運動不足が大きな問題となる中、運動により脳機能が向上すると書かれた『運動脳』に注目する企業は多いでしょう。

運動をすることで従業員の健康が保たれパフォーマンスアップにも繋がります。企業として積極的な運動に向けた取り組みを行いましょう。

この記事では『運動脳』の内容と運動の有効性、運動習慣をつけるための具体的な取り組みを紹介します。ぜひ参考にしてください。

 

話題の本『運動脳』とは

『運動脳』とは、『スマホ脳』『一流の頭脳』など数多くのベストセラーを生み出したアンデシュ・ハンセン氏の書籍です。

この『運動脳』は精神科医である著者が運動の重要性、必要性をエビデンスに基づいて解説しており、スウェーデンでは60万部以上の売り上げを出しました。

運動にメリットがあると理解している方は少なくありません。しかし、具体的にどのようなメリットがあるか分からず運動を後回しにする従業員は多いです。

 

『運動脳』において、運動は不安障害やうつ病のリスクを減らし、抗うつ剤やセラピーに匹敵する効果をもたらすと説明されています。

書籍内ではとくに有酸素運動の有効性が詳しく解説されており、筋トレよりウォーキングの方がおすすめできるとされます。

有酸素運動を日常的に行うことで学力・集中力・記憶力・創造性などあらゆる脳の力が伸びます。従業員が生き生きと働くため、企業として有酸素運動を促進することは重要です。

 

座りすぎによる悪影響

デスクワークが仕事の中心となり、長く椅子に座り続ける従業員は多いです。しかし座りすぎは血行不良や代謝の低下を引き起こし、死亡リスク増加にも繋がります。

京都府立医科大学のプレスリリースによると、座る時間が2時間増えるごとに死亡リスクが15%増加します

出典:京都府立医科大学 日本多施設共同コーホート研究事務局

脂質異常症、高血圧など生活習慣病の有病者の場合、座りすぎによる死亡リスクはさらに増加します。

余暇の時間に長時間運動をしても、死亡リスクは大きく変化しません。座りすぎによる死亡リスクを減らすには、座っている時間そのものの短縮が必要です。

そのため業務中もこまめに体を動かすように従業員に促しましょう。

 

運動を行うメリットとは

『運動脳』は運動のメリットに複数触れ、運動の有効性を明らかにしました。ここからは『運動脳』に記載されている内容を含め、運動の全体的なメリットを紹介します。

 

ストレスを感じづらくなる

通常、人間がストレスを受けると、副腎からコルチゾールが分泌されます。

コルチゾール自体は人間の生存に必要なホルモンではありますが、記憶を司る海馬の細胞は長時間コルチゾールにさらされると死んでしまいます。

記憶力を保つには、コルチゾールの分泌量を抑えストレスに対する過剰反応を止める必要があるのです。

継続して運動を行えば、運動以外のことが原因のストレスでもコルチゾールの分泌量上昇がわずかになりストレスへの抵抗力が上がります

そのため過剰なストレスによるパフォーマンス低下を防ぐには、定期的な運動が効果的です。

参考:東洋経済オンライン 脳に良い習慣と「脳に悪い心理状態」の決定的事実

 

集中力が上がる

情報化が進む現代では多くの人が大量の情報にさらされており、集中力が低下しがちです。とくにマルチタスクは脳に大きな負担をかけるため、さらなる集中力減退につながります。

しかし運動を取り入れるとドーパミンの分泌が増えて、集中力が高まります。

ドーパミンは人間の幸福感につながるホルモンです。ドーパミンが増えると前向きな気持ちになり、集中力も向上します。

ドーパミンは、5分〜10分の軽い運動でも分泌されます。仕事の合間に軽い運動の機会を取り入れ、従業員のパフォーマンスアップを目指しましょう。

 

気分の落ち込みが改善する

運動にはうつ状態を予防・改善する効果があり、気分の落ち込みを感じている従業員にはとくに効果的です。

カリフォルニア州の特定地域における調査では、身体活動が活発になるとうつ状態になる人が減少し、逆に身体活動が減ると、抑うつ状態になりやすいと分かりました。

またハーバード大学の追跡調査において、身体活動の多い人やスポーツをする人のうつ病罹患率は2〜3割低いと判明しました。

運動で作られる脳内エンドルフィンは、気分の落ち込みを改善させます。

メンタル不調に対してはウォーキングやヨガなど低強度の運動も効果的であるため、少しの運動でも積極的に取り組んでもらうことが重要です。

参考:宮城県成人病予防協会 運動によるうつ病・うつ状態の予防に関する基礎知識

 

記憶力が上がる

筑波大学の調査において、ヨガや太極拳などの超低強度運動を10分間行うことで直後の記憶力が向上すると判明しました。

同調査より、仕事前に軽い運動を行うことは記憶面でのポジティブな効果につながるといえます。

また同大学の調査では、軽く汗をかく程度の中強度運動でも記憶力が高まると確認されました。短時間でも運動することで、記憶力が向上し仕事の効率が上がります。

参考:筑波大学 短時間の軽運動で記憶力が高まる!

参考:筑波大学 短時間の運動で記憶力が高まる

 

身体が健康になる

運動を行うと脳だけでなく身体も健康になり、病気の予防につながります。

40~65歳までの女性を対象に行われた調査では、運動量・運動時間の増加により糖尿病の発症リスクが減少しました。

また一般内科の専門誌Archives of Internal Medicineに掲載された調査によると、糖尿病をすでに発症している場合でも、歩行習慣がある患者は歩行習慣のない患者に比べ死亡率が低くなっています

さらにスタンフォード大学のパフェンバーガー博士の研究では、毎週運動で2,000kcalを消費する人の心臓発作の発生率が3分の1となることを明らかにしました。

ウォーキングを始めとした軽い運動であっても、継続して行うことが身体の健康につながります。

少しでも健康に長く働いてもらうため、従業員に運動習慣をつけてもらうことは重要といえるでしょう。

参考:国土交通省 第1章「歩く」効果・効用とそれを習慣化する方法の整理

参考:一般社団法人 日本ウォーキング協会 ヘルスウォーキング(入門編)

 

脳機能向上に効果的な運動のやり方

脳機能を向上させるには、有酸素運動が効果的です。

『運動脳』の中では、記憶力、学習能力と関わりを持つ神経栄養因子、BDNFを増やすために40分程度有酸素運動を継続して週3日ほど行うことが有効とされています。

軽めのウォーキングでも効果が出るため、運動に慣れていない人はウォーキングから始めるのがおすすめです。ウォーキングは、身体機能の向上にも効果的です。

「脂肪を燃焼するには継続した20分以上の運動が必要」といった話もありますが、20分経過以下の運動では脂肪がまったく燃焼されない、という訳ではありません。

10分以下の短時間ウォーキングでも積み上げることで効果が現れます。まとまった時間が取れない方は、短時間のウォーキング習慣をつけてください。

参考:大阪府立健康科学センター

ただし、まったく運動習慣がない人にとって計40分以上のウォーキングは大きな負担です。 少しずつ歩数を増やし、個人に適したペースで次第に運動量を増やしましょう。

 

従業員に運動習慣をつけてもらうための取り組み

従業員のパフォーマンスを上げるには、気軽に取り組めるウォーキングが効果的です。ウォーキングを始めとした運動を習慣化するため、企業としてできることを紹介します。

 

運動の有効性を周知する

従業員に対し、運動が仕事のパフォーマンスを上げることを周知しましょう。運動の有効性を具体的に伝えれば、運動に取り組もうと思う従業員が増えます。

また会社主導で運動の機会を作り、企業として従業員の運動を重視しているとアピールするのもおすすめです。

社内運動会を行う、勤務時間内にラジオ体操を導入する、講師を呼びヨガや筋トレの教室を開くなどの取り組みで、運動に関心を持ってもらいましょう。

 

オフィスに運動しやすい空間を作る

従業員が長い時間を過ごすオフィスを変え、運動しやすい空間を作るのも有効です。

運動ができるスペースを導入する、運動器具をオフィスに導入するなどすれば、運動へのハードルも下がります。

大規模なものではありますが、アマゾンジャパン株式会社ではオフィスにボルダリングができる壁を導入しました。

参考:経済産業省  健康経営オフィスレポート

 

利用できるスペースが少ない場合、従業員が使用している椅子を一部バランスボールに変えるといった工夫もあります

予算の範囲内でオフィスの環境を変え運動の機会を作りましょう。

 

運動をサポートする福利厚生制度を導入する

ジムに通う場合は金額の一部をサポートするなど、従業員の運動の助けになる福利厚生制度を導入するのも有効です。

制度を用意すれば、企業として従業員の健康を重視していると社内外に対しアピールすることもできます

運動に関する制度を作る場合、社員食堂の導入、健康的な食事に対する費用補助など、食に関連する取り組みを合わせて行うのがおすすめです。

運動を継続して行うには、栄養バランスの取れた食事が必須です。従業員の食事が疎かにならないよう、企業として取り組みましょう。

 

有酸素運動をサポートするツールを利用する

運動を行うことは重要ですが、一時的なものに留まると効果は薄くなってしまいます。健康管理アプリなどを利用し、継続して有酸素運動ができるようサポートしましょう。

ウォーキングやランニングの結果を記録できるツールを導入すれば、頑張った成果がわかりやすくなるためモチベーションアップに繋がります

また歩数や歩いた距離がポイントに変換される、運動を行うことでストーリーが進行するなどゲーム感覚で運動できるツールがおすすめです。

ゲーム感覚で運動できる仕組みを用意すれば、運動経験の少ない従業員に対しても効果的です。

 

まとめ:従業員が運動しやすい環境を作るならKIWI GO

運動にはさまざまな効果があり、継続した運動は仕事にも好影響を与えます。ウォーキングなど取り組みやすい運動を従業員に勧め、健康で働きやすい環境をサポートしましょう。

ウォーキングの習慣づけなら、KIWI GOがおすすめです。KIWI GOは歩数がコインに変わる福利厚生アプリです。

貯めたコインをお菓子などのごほうびに交換できることから、運動が苦手な従業員もゲーム感覚でウォーキングできます。

またチーム対抗のウォーキングイベントも開催可能です。会社の仲間と競い合うことでウォーキングがより楽しめるようになり社内の連携も強化されます。

他にも、KIWI GOには同じ趣味を持つ従業員同士が交流できるギルド機能があり、従業員同士のコミュニケーションも促進します

「従業員の健康のため運動するきっかけを作りたい」「運動が苦手な従業員も利用できるツールを導入したい」とお考えの企業は、ぜひお問合せください。