近年、健康経営に取り組む企業が増えており、多くの企業が従業員の健康維持・向上を目指しています。
健康を維持するためには睡眠が欠かせません。質の良い睡眠は働き手の心身の健康を保ち、生産性を向上させるために重要です。睡眠不足は健康や仕事の効率、メンタルにも悪影響を及ぼします。
集中力の低下によって命に関わるミスが発生するケースもあるため、健康経営では従業員の睡眠の質を高める取り組みを行いましょう。
本記事では健康経営と質の良い睡眠に焦点を当て、企業の取り組みや効果的な戦略や事例を紹介します。
目次
健康経営における睡眠の重要性
睡眠は人々の生活の質を維持し、仕事の生産性を保つ上で必要不可欠な行為です。
時間の制約やストレスから睡眠時間が短くなったり睡眠の質が低下したりすると、認知機能が低下します。
参考:大阪経済大学 岡島成治・森本敦志研究会 睡眠の経済分析
現場では命に関わるミスにつながることもあるため、企業としては本格的な対策が必要です。
株式会社こどもみらい・東京医科大学・慶應義塾大学で構成される共同研究チームの報告によると、日本全体では睡眠問題により約7.5兆円の経済損失が発生しています。
会社の生産性向上という観点からも、睡眠改善の必要性は高いといえます。
健康経営を成功させるためには適切な睡眠時間と良質な睡眠を推奨し、必要な環境を提供することが重要です。
日本における睡眠の状況
近年の日本は過去20年間で平均睡眠時間が減少しており、睡眠障害を抱える人が増加しています。
特に労働者の平均睡眠時間はわずか7時間程度であり、睡眠不足が仕事に問題をもたらしていると考えられます。
また厚生労働省の別の調査によると、1日の睡眠時間が6時間を切っている人の割合は男性で37.5%、女性で40.6%でした。
個人差はあるものの1日に必要な睡眠時間の理想は8時間とされているため、6時間以下では大幅に足りていないといえます。状況を改善するため、企業や政府は働き方改革や睡眠教育の推進を始めています。
健康経営においても睡眠の重要性が認識されており、睡眠時間と質の確保を含む睡眠改善施策の検討は必須です。
睡眠状況の改善により、従業員が毎日を生き生きと過ごせるようサポートしてください。
理想的な睡眠を実現する方法
日常生活の中で手軽に実践できる方法で、理想的な睡眠を実現することができます。
ここからは睡眠の質を高めてゆっくりと休息するためのポイントを3つ解説します。
参考:快眠と生活習慣
規則正しい生活をする
一定の起床時間と就寝時間を設けることで体内時計が整い、自然な眠気を感じられるようになります。
理想の睡眠時間は8時間とされており、起床の8時間以上前には布団に入るよう意識することが重要です。
ただし個人により適切な睡眠時間は異なるため、8時間睡眠を強制するのは避けてください。
布団に入ってもスマートフォンやタブレットを見てしまう方は多いですが、ブルーライトは安眠の妨げになります。
パソコンを使用する仕事は早めに終わらせ、余裕を持って就寝するよう企業として呼びかけてください。
就寝の2、3時間前に入浴する
就寝の2、3時間前に入浴すると、体温の下降により自然な眠気が促されます。
ぬるめのお湯でも体を温めることが重要であるため、無理のない範囲で入浴するよう心がけることが重要です。睡眠直前に入浴するのを好む方もいますが、体温が上がった状態では寝つきが悪くなる危険があります。
就寝の2、3時間前にゆっくり入浴できるよう、終業後の時間を企業側がしっかりと確保する必要があります。
カフェインを摂る時間に注意する
カフェインには覚醒作用があり、就寝前に摂取すると睡眠の質を低下させる可能性があります。
カフェインに敏感な場合、就寝の5~6時間前からはカフェインの摂取を控えるべきです。企業として、夕方以降はカフェイン摂取を控えるよう呼びかけてください。
コーヒーや紅茶を提供している企業の場合、夕方以降はカフェインの入った飲み物を片付けるのもおすすめです。
また就寝前の喫煙や飲酒も睡眠の質に悪影響を及ぼします。
企業として禁煙に取り組みたい場合、次の記事も参考にして適切な施策を検討してください。
あわせて読みたい:【健康経営】禁煙対策は必須!推進のポイントと具体的な取り組み事例
睡眠環境向上のために企業ができる取り組み
ここではより実践的に睡眠習慣の見直しを行うため、企業として取り組める内容と理想的な睡眠環境を実現する要素を解説します。
自社の実態を把握する
まずはアンケートを実施して、睡眠時間、質、悩みなどを詳細に把握してください。自社の従業員が抱える課題を基に、具体的な解決策を検討します。
例えば出勤時間と生活リズムがあわないと感じている従業員が多い場合、フレックスタイム制の導入がおすすめです。
さらに専門チームを立ち上げることで、睡眠に対する企業の取り組みが具体化されます。
従業員の睡眠に力を入れていることを示し、従業員へのサポートを強化してください。
睡眠環境改善に関するアドバイスを行う
睡眠に関する知識を深めてもらうために適宜専門家によるセミナーを実施し、快適な環境を整えるための具体的な方法を提供してください。
特に働く空間と休む空間が混ざりやすい在宅勤務者への配慮は重要です。
仕事から離れてゆったりと休める空間を持ってもらい、快適な睡眠につなげてください。
また、厚生労働省が提供する「健康づくりのための睡眠基準2014」などの公的資料も活用しましょう。
従業員の知識が深まれば、自身の睡眠状況を把握して個人に合った改善策を試せるようになります。
休憩スペースを整備する
リラクゼーションスペースやシエスタ(スペイン発祥の長いお昼休憩)ルームを設けることでリラックスタイムが取りやすくなり、日中の疲労回復に役立ちます。適度に休憩を取れば緊張感がほぐれ、労働生産性向上、労働事故の減少にもつながります。
休憩スペースでは灯りや温度、湿度などを調整し、心地よい空間を作り出すことが重要です。
従業員の意見も取り入れながら、安心して休める空間を作ってください。
柔軟な働き方を導入する
現代の働き方改革では、フレックスタイム制度やテレワークの導入が求められています。
柔軟な働き方で、個々の生活リズムや睡眠リズムに合わせて業務を継続してもらいましょう。
従業員が最も活動的になれる時間帯に働くことで、生産性も向上します。
フレックスタイム制度やテレワークなどを導入すれば、育児や家事、介護と仕事との両立がしやすくなり定着率アップにも役立ちます。
あわせて読みたい:働き方改革でテレワークを導入するメリットとポイントを解説!
:フレックスタイム制とは?メリット・デメリットや導入手順を徹底解説
快眠に効果的なアイテムを用意する
良質な睡眠を得るためには、寝具、室温と湿度、騒音、明るさの調整が必要です。睡眠の質が悪く起床時に疲労を感じる場合は、まず快適な寝具を用意してください。
適切な硬さやサイズのマットレス、自分に合った高さの枕、温度調節が可能な寝具を用意することが重要です。
また室内の温度と湿度も、睡眠の質や寝つきに大きく影響します。
季節に応じて異なるものの、寝室の温度は13~29℃、湿度は40~60%程度が理想とされています。
参考:NCNP病院国立精神・神経医療研究センター 温度、湿度と睡眠
さらに、静かな環境も睡眠の質を向上させます。騒音対策として、耳栓や防音カーテンを利用することも有効です。企業として睡眠の質の向上に役立つアイテムの購入をサポートし、従業員の健康に寄与してください。
また適切な睡眠環境についての情報を細かく伝えることで、従業員の意識を変えることも大切です。
運動習慣作りをサポートする
運動で適度な疲労を感じることで、睡眠の質が向上します。
特にデスクワークでは脳の疲れを感じていても体の疲労は出にくく、運動不足になりがちです。
運動の重要性を伝え、運動を習慣化してもらえるよう促してください。
あわせて読みたい:ウォーキングは健康に効果的?研究データを基に詳細を解説!
運動が苦手な従業員でも楽しくウォーキングを継続できるアプリには、「KIWI GO」があります。
KIWI GOは歩数の記録機能とごほうび機能で、ウォーキングの習慣化を目指す福利厚生アプリです。
従業員間の交流機能もあるため、職場の仲間とコミュニケーションを取りながら前向きに運動を継続できます。企業として運動習慣作りをサポートし、従業員の生活の質の向上を目指しましょう。
まとめ:睡眠環境の改善は企業としての成長にもつながる
健康経営において、従業員の睡眠の質は非常に重要です。
従業員が抱える睡眠トラブルは長期的な健康問題につながるだけでなく、メンタル面での問題や事故に発展する可能性もあります。
従業員が健康で安全に過ごせるよう、まずは睡眠状況を調査してください。
質の高い睡眠が習慣的に取れるようになれば、生産性も向上し企業としての成長にもつながります。
KIWI GOをはじめとする外部のサービスを活用しながら、睡眠への取り組みを進めて健康で活力あふれる職場環境を実現してください。