ウェルビーイングを意識した経営を行うと従業員のやる気を引き出せるようになり、職場の人間関係も改善されます。
会社への貢献意識やパフォーマンスが高まれば、長期間勤めてくれる従業員は増えるでしょう。
またやる気のある従業員が多くなるとチームとしての結束力が高まり、より良い企業にしていこうとするサイクルが生まれます。
しかしウェルビーイングを実現するにはどのような組織体制が必要なのか、悩む企業は少なくないでしょう。
そこで本記事では、ウェルビーイングの意味や組織にウェルビーイングの考え方を採り入れる際のポイントを解説します。
目次
ウェルビーイングとは
ウェルビーイングとは、「肉体的にも精神的にも、社会的にもすべてが満たされた状態」のことを指します。
企業のウェルビーイング経営においては、個人での実現が難しい「社会的に満たされている」ことによる幸福を担うことが重要です。
もちろん肉体や精神の幸福のためには、従業員の健康や福利厚生、就業規則の見直しが必要です。
しかし経営として一番インパクトがあるのは「従業員たちの働きがいをどう担保するか」です。
まずは従業員が会社にとって必要不可欠な存在であることを伝え、仕事を高く評価してください。
さらにコミュニケーションの強化やフィードバック文化の構築を行い、従業員が意見を発信しやすい環境を作ります。企業として、従業員が働きがいを感じられる組織を作ってください。
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組織にウェルビーイングの考え方が必要な理由
日本は世界的に見ても幸福度が低いため、従業員の幸福度を高めることは急務といえます。
2023年に公開された世界幸福度ランキングによると、日本の幸福度は137カ国中47位です。
出典:SDGs ACTION! 【世界幸福度ランキング】日本の幸福度、2023年は47位に上昇 トップは6年連続の…
GDPは現在世界3位の日本ですが、労働者のウェルビーイングに関心が向いているとはいえません。
持続可能な環境に注目が集まる中、従業員の幸福度を高めて労働環境を整えることは急務です。
昨今では人材獲得の難しさもあり、待遇の良さだけでなく企業で働く目的を重視している求職者は少なくありません。
ウェルビーイング経営で従業員が社会的にやりがいを感じられる環境を構築できれば、企業価値向上にも繋がります。
組織がウェルビーイング向上を目指すメリット
ウェルビーイングを向上しても従業員個人にしか還元されない、と考える企業は少なくありません。
しかし組織としてウェルビーイング向上を目指せば、次のメリットが得られます。
- 従業員が健康に生き生きと働ける
- 従業員が長く働けるようになる
- 従業員のやる気が高まり定着率が上がる
- 従業員満足度が高まる
- 企業の評価が高まり良い人材の採用に繋がる
- 従業員の創造力が高まり良いアイデアが生まれる
- チームや組織への貢献意欲が高まる
- 人間関係の風通しが良くなり組織としての機動力が高まる
従業員にとって良い環境を整えることは、組織のパフォーマンスを高める上でも重要です。
自社を持続可能な組織にするために、最優先事項として従業員のウェルビーイング向上に注力してください。
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ウェルビーイングの考え方を組織に導入する際の確認事項
ウェルビーイング向上を目指して組織として取り組む前に、まずは次の点から、現在の組織が抱えている問題点を明らかにしてください。
- 組織の現状はどうなっているか→産業医や健康施策担当者との提携状況はどうか、オフィス環境は適切か
- 従業員の健康状態は良好か→健康理由による欠勤の割合、喫煙率は高いか、健康診断の受診率に変化はないか
- 業務内容は適切か→一人あたりの仕事量は適切か、作業負荷(ワークロード)は従業員のキャパシティに合っているか
- 職場の人間関係は良好か→職場の雰囲気は良いか、従業員は働くことが楽しいと考えているか、自分は貢献できていると従業員が感じているか
- 組織の方向性について理解されているか→会社のビジョンを従業員が気に入っているか、職務が会社のビジョンに沿っているか
- 収入に納得感はあるか→従業員は収入、待遇に満足しているか、従業員は給与の決定方法に納得しているか
従業員のウェルビーイング全般に対してヒアリングを行い、改善できるポイントを知ることが重要です。
自社内の課題を調べるにあたっては、経済産業省の健康経営度調査を活用するのも良いです。
健康経営度調査を参考にすれば、1から調査内容を検討しなくても現状の課題を深く分析できます。
あわせて読みたい:健康経営度調査の内容は?評価方法や参加するメリットも徹底解説!
組織がウェルビーイングの効果を高めるコツ
ウェルビーイング向上を目指して取り組みましょうと呼びかけただけでは、効果がなかなか出ないことも少なくありません。
ここからは組織において、具体的にウェルビーイング向上に向けて取り組むべき内容を紹介します。
気軽にコミュニケーションが取れる環境を作る
テレワークが浸透している現在、多くの企業が社内でのコミュニケーションについて課題を抱えています。
上司や同僚と話をする際、対面のほうが細かいニュアンスを伝えやすく、雑談のようなインフォーマルなコミュニケーションができると答えた方は半分以上いました。
原則テレワークとしている会社も、気軽に従業員同士がコミュニケーションを取れるよう適度に出社日を設けるなどの検討が必要です。
またチャットやSNSなど気軽に利用できるツールを導入するのもおすすめです。
社内においては誰でも使用できる共有スペースを作ったり、イベントを開催したりすることで、他部署の方や同期と話せる環境が広がります。
ただし勤務時間外での交流になると、不満が出てくる可能性もあります。
企業としては業務内でのより積極的な交流を促し、従業員同士が関わりやすい環境を作ることが重要です。
組織的に働き方を見直す
ウェルビーイング向上のためには、一部のみならず、企業全体として働き方を見直すことが重要です。
まずは従業員のキャパシティを超えた労働が発生していないか、労働時間と業務内容の観点から確認してください。
実際に改善策を実行する際は、社内の総務や現場と相互に連携をとることが重要です。
特に重要なのは、経営陣や管理部から働き方改革を行うことです。
プライベートの時間を大切にする姿勢を実際に見せることで、働き方を見直そうという意識が組織全体に広がります。
また従業員の働く意欲の方向性を調整するためには、1on1やチームでの振り返り、ジョブクラフティングの導入も効果的です。従業員の声を実際に聞ける場を作り、改善策に繋げましょう。
評価制度を見直す
働いた成果がしっかりと評価されない職場だと、真面目に働き続けることは難しくなります。
最初は高いモチベーションを持っていた従業員も、評価されない状況では生き生きと働けなくなってしまいます。
結果が出なくとも、目標実現のために実行したことや学習したことを評価するシステムを作ることが大切です。
評価制度の内容を変更したら、評価結果まで誠意を持って伝える仕組みを作ってください。評価制度が曖昧だと、何を頑張れば評価されるのかわからず悩みが生じ、従業員のストレスになります。
なるべく数字で可視化された項目で評価をするよう意識することが重要です。
また、より公平な評価のため、上司による評価や同僚による評価(ピアレビュー)を取り入れることも検討してください。
納得できる評価を作るには、機能部門ごとに評価項目を変えることも必須です。
部門や仕事の内容ごとに適切な評価項目が異なるため、現場の声を聞きながらそれぞれに適した評価ができる体制を築いてください。
福利厚生を改善する
福利厚生を見直して、従業員がより過ごしやすい環境を取り入れるのもウェルビーイング向上において重要です。
プライベートで利用できるチケットや宿泊場所の優待、社内イベントなどはリフレッシュに効果的であるため、導入を検討してください。
特に社内イベントでは従業員同士の交流も生まれるため、人と人との繋がりを重視するウェルビーイングに直結する施策といえます。
健康を重視した社内イベントを企画する際は、次の記事もチェックしてください。
あわせて読みたい:従業員が参加したくなる!健康イベントの成功例と企画の手順を解説
ウェルビーイング向上施策において、会社がすべてを決めて主導するのは困難です。
そのため会社はあくまでファシリテーター、つまり最終的な決裁者となり、改善活動を考えるのは委員会などに任せるのもよいでしょう。
ウェルビーイングを向上させた組織の事例
ここでは従業員のウェルビーイング向上のため、実際に組織体制や制度の見直し、導入をしている会社を3つ紹介します。
デンソー
デンソーのウェルビーイング施策において重視されているポイントが、「見える化」です。
健康リーダーを配置することにより、多様な各部門の健康課題を的確に把握し、それぞれの課題に適した施策の導入ができるようになりました。
また健康リーダーがいることで、トップダウン的な施策ではなく部署による自主的なボトムアップ活動が促されています。
その結果、健康経営優良法人認定制度において5年連続で「健康経営優良法人 ホワイト500」に選ばれています。
参考:デンソー株式会社 サステナブルな社会は、「健康」から始まる
楽天グループ株式会社
出典:楽天グループ株式会社
楽天グループ株式会社では、「多目的な視点」をコンセプトにウェルビーイング施策を実施しています。
具体的には代表取締役をトップに置いて、健康・安全・ウェルネス推進の組織体制をトップダウン型で構築しています。
楽天グループ株式会社にいるCWO(チーフウェルビーイングオフィサー)は、健康・安全・ウェルネス経営のリーダー的存在です。
CWOとウェルネス部、グループ企業が連携することで組織全体の体制を整えてきました。
また楽天健康保険組合により従業員の家族の健康もサポートすることで従業員の健康意識をさらに高めています。
施策の結果として、楽天グループ株式会社では出勤後の仕事意欲が向上するなどの効果を得ています。
まとめ:ウェルビーイング向上には組織が一体となって取り組める体制作りが重要
従業員が安心して働ける環境を作ることは、どの企業にとっても非常に大切です。
ウェルビーイングへの取り組みを全社化するため、組織の経営者や総務など、現場の管理や状況を把握している部署が率先して動いてください。
また組織体制を見直し、ウェルビーイング向上を推進するポジションやグループを作ることも効果的です。
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