ハラスメントの被害は深刻なものであり、政府はハラスメントを防止するため、企業に防止措置を義務化するなどの対策を行ってきました。

会社は被害を少しでも抑えるためハラスメントの種類を知り、対策を講じなければなりません。

当記事では、職場ハラスメントの種類を紹介し、対策方法や対象となる事例、関連する法律などを紹介していきます。

「どのような行為がハラスメントに該当するか知りたい」「ハラスメントが起こりにくい職場をつくりたい」といった企業の方は、ぜひ読んでください。

 

目次

ハラスメントとは

ハラスメント(harassment)とは「いじめ」「嫌がらせ」など迷惑行為のことです。ハラスメント行為は現代における大きな問題となっており、実際に裁判となった事例もあります。

例えば2020年、毎月過度な時間外労働があったうえ上司が2時間を超えて起立状態の従業員を叱責。従業員は出血性脳梗塞を発症し、上司がパワハラに該当する行為をしたのか裁判になった事件がありました。

参考:厚生労働省 明るい職場応援団

 

この事件では注意指導を執拗に長時間立たせた状態で行うことはパワハラに該当するという判決結果になり、労働者に対し労働保険給付が認められました。

ハラスメントが起きることは、従業員にとっても企業にとっても大きなデメリットです。深刻な事態を防ぐためには、適切な対応や職場環境作りが大切です。

 

ハラスメントの対象範囲

相手が不快に感じる言動や行動が、すべてハラスメントになる訳ではありません。

厚生労働省の『職場におけるハラスメント対策マニュアル』の中では「業務上の必要性」に基づく言動は、ハラスメントに該当しないと示されています。

参考:厚生労働省 職場におけるハラスメント対策マニュアル

 

例えば、部下が育児休暇申請を行ったとき、「業務が回らないから」といった理由で休業届けを妨げる言動は、ハラスメントに該当します。

一方、「業務が回らないから時期をずらせないか」と相談することは、ハラスメントに該当しません。

労働者の意を汲まない一方的な言動はハラスメントに該当する可能性が高いため、注意が必要です。

また、職場のハラスメントは社内だけが対象ではありません。

職場とは労働者が業務を遂行する場所を示します。ゆえに社内以外、社外での活動や勤務時間外の宴会、懇親の場なども職場に該当します。

参加がほぼ義務化されている場所は職務の延長と見なされ、ハラスメントの対象範囲となるため注意しましょう。

参考:厚生労働省 労働者派遣事業法

 

ハラスメントが及ぼす影響

ハラスメントは、個人の尊厳や人格を不当に傷つける行為です。ハラスメントが起きれば職場の秩序が乱れ、働く社員は能力を十分に発揮できません。

 

社員がハラスメントの現場を目撃してしまった場合、自社に対する不安感や不信感が沸き起こり、エンゲイジメントが著しく下がることが懸念されます。

またハラスメントが起こると、安全配慮義務違反を理由とした損害賠償請求が行われる可能性があります。ハラスメントが公になれば、企業イメージも大きく低下しかねません。

 

厚生労働省は、過去3年間にパワハラ、セクハラ、顧客等からの著しい迷惑行為を受けた人の割合を調査しました。

出典:厚生労働省 令和2年度 厚生労働省委託事業 職場のハラスメントに関する実態調査主要点

 

調査結果からは、31.4%の回答者がパワハラを経験しており、セクハラは10.2%。顧客からの著しい迷惑行為は15.0%と被害を受けた人は非常に多い状況だと分かります。

 

会社に関連するさまざまな場所で、実際にハラスメントが起きています。自社のハラスメント状況を正しく把握し、ハラスメントが起こらない職場づくりに取り掛かりましょう。

 

対策が義務付けられているハラスメント

「パワーハラスメント」「セクシャルハラスメント」「妊娠・出産・育児休業等に関するハラスメント」は法律により対策が義務化されています。

ここからは各ハラスメントの事例と必要な対策について、詳しく解説します。

 

パワーハラスメント

『パワハラ』と略されるパワーハラスメントは、優越的な関係に基づき、業務上必要な範囲を超えた言動により就業環境を害するなどの行為です

2020年6月1日より大企業の事業主に対して、職場におけるパワーハラスメント防止処置を講じることが義務化されました。

更に2022年4月1日より、これまで対策が努力義務であった中小企業に対しても、パワーハラスメント防止処置が義務化されています。

 

パワーハラスメントの具体例

厚生労働省では、以下3つの要素すべてを満たすものをパワーハラスメントと定義しています。

  1. 優越的な関係に基づいて(優位性を背景に)行われること 
  2. 業務の適正な範囲を超えて行われること 
  3. 身体的若しくは精神的な苦痛を与えること、又は就業環境を害すること

参考:厚生労働省 パワーハラスメントの定義について

 

3つの要素が1つでも欠けている場合、パワハラに該当しないケースもあります。

例えば、身体的攻撃に分類される「業務上関係のない同僚との喧嘩」です。要素の1と2が欠けているため、パワハラとは言えません。

 

パワーハラスメントに該当する行為は、次の6つに分類されます。

 

身体的攻撃

  • 上司が部下に対して殴打、足蹴りをする
  • 近くにあった資料を投げつける
  • デスクを叩きつけ発言を封じる

 

精神的な攻撃

  • 長時間、同じ内容について繰り返し叱責する
  • 全員がいる前で「だからダメなんだ」「バカ」と叱る
  • ミスをした部下を長時間起立させる

 

人間関係からの切り離し

  • 集団で無視をする
  • 全員で共有されるメールや資料を回さない
  • 忘年会や送迎会などに1人だけ誘わない

 

過大な要求

  • 業務時間内に到底終わらない量の仕事を命じる
  • 休日出勤を強要する

 

個の侵害

  • 有給休暇を申請する際に詳しい説明を求める
  • デスクにおいてあったスマホを勝手に覗く
  • 業務に関係のないメールや電話をしつこくかける

精神的、身体的な加害は幅広くパワハラに該当する可能性があります。パワハラは性別・年齢問わず起きやすいため、どのような企業でも明確な対策が必要です。

 

パワーハラスメントに対し必要な措置

厚生労働省が公表している資料の中では、パワーハラスメントに対する事業主の義務について以下の4つが示されています。

◆ 事業主の方針等の明確化及びその周知・啓発

  • 職場におけるパワハラの内容・パワハラを行ってはならない旨の方針を明確化し、労働者に周知・啓発すること
  • 行為者について、厳正に対処する旨の方針・対処の内容を就業規則等の文書に規定し、労働者に周知・啓発すること

 

 ◆ 相談に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備

  • 相談窓口をあらかじめ定め、労働者に周知すること
  • 相談窓口担当者が、相談内容や状況に応じ、適切に対応できるようにすること

 

 ◆ 職場におけるパワーハラスメントに係る事後の迅速かつ適切な対応

  • 事実関係を迅速かつ正確に確認すること
  • 速やかに被害者に対する配慮のための措置を適正に行うこと
  • 事実関係の確認後、行為者に対する措置を適正に行うこと
  • 再発防止に向けた措置を講ずること

 

 ◆ そのほか併せて講ずべき措置

  • 相談者・行為者等のプライバシーを保護するために必要な措置を講じ、その旨労働者に周知すること
  • 相談したことを理由に、解雇やその他不利益取り扱いをされない旨を定め、労働者に周知・啓発すること

参考:厚生労働省 職場におけるパワーハラスメント対策が事業主の義務になりました!

パワハラ防止法に罰則は定義されていません。ただし、厚生労働大臣が必要があると認めたときには、事業主に対し助言、指導または勧告が行われます。

規定違反への勧告に従わない場合はその旨が公表される可能性もあるため、注意が必要です。

 

セクシュアルハラスメント

セクシュアルハラスメントは、労働者の意に反する性的な言動により労働者に不利益を与えたり、性的な言動により就業環境が害されることです

職場でのセクシュアルハラスメントは、働く人の尊厳を不当に傷つける社会的に許されない行為であるとともに、能力発揮の妨げになります。

業務に支障が出る、職場秩序が乱れるなどの悪影響も考えられるため、企業にとっても重大な問題です。

セクシュアルハラスメントは、2019年4月1日より対策が義務化されています。

 

セクシュアルハラスメントの具体例

性行為を求める言動、性的目的での体への接触などわいせつな行為は、セクハラに該当します。

セクシュアルハラスメントには、「対価型」「環境型」2つのパターンが存在します。それぞれの具体例を紹介します。

 

対価型

  • 性的な関係を要求したが拒否されたため、無視するようになる
  • 宴会やお酒の席の場で、お酒をつぐことを強要する
  • 契約更新を条件に性的関係を強要する

 

環境型

  • 社内で不倫しているという噂を流し、働きにくい状況へ追い詰める
  • 仕事上必要のないヌードポスターなどを職場に貼り付ける
  • 「男のくせに」など性別を理由とした差別的な発言をする

 

セクハラ被害を受けた場合には明確な意思表示が有効ですが、立場があり相手に強く抗議できない従業員は多いです。

セクハラ専門の対策チームや相談室などを設置し、プライバシーを守りながら問題解決に向けて動けるような体制を整える必要があります。

 

セクシュアルハラスメントに対し必要な措置

厚生労働省が公表している資料では、以下の10項目の内容について事業主に対し、対策措置の義務化を命じています。

 

 ◆事業主の方針の明確化及びその周知・啓発

  • 職場におけるセクシュアルハラスメントの内容・セクシュアルハラスメントがあってはならない旨の方針を明確化し、管理・監督者を含む労働者に周知・啓発すること
  • セクシュアルハラスメントの行為者については、厳正に対処する旨の方針・対処の内容を就業規則等の文書に規定し、管理・監督者を含む労働者に周知・啓発すること

 

 ◆相談(苦情を含む)に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備

  •  相談窓口をあらかじめ定めること
  •  相談窓口担当者が、内容や状況に応じ適切に対応できるようにすること。また、広く相談に対応すること

 

 ◆職場におけるセクシュアルハラスメントに係る事後の迅速かつ適切な対応

  • 事実関係を迅速かつ正確に確認すること
  • 事実確認ができた場合には、速やかに被害者に対する配慮の措置を適正に行うこと
  • 事実確認ができた場合には、行為者に対する措置を適正に行うこと
  • 再発防止に向けた措置を講じること。(事実が確認できなかった場合も同様)

 

 ◆併せて講ずべき措置

  • 相談者・行為者等のプライバシーを保護するために必要な措置を講じ、周知すること
  • 相談したこと、事実関係の確認に協力したことを理由として、不利益な取扱いを行ってはならない旨を定め、労働者に周知・啓発すること

参考:厚生労働省 職場のセクシュアルハラスメント対策はあなたの義務です!

 

セクハラ防止のための措置義務に違反した会社は、厚生労働省から報告を求められ、助言、指導もしくは勧告されます。

勧告にも応じない場合には、企業名が公表されます。

 

妊娠・出産・育児休業等に関するハラスメント

妊娠・出産・育児休業等に関するハラスメントとは、上司・同僚からの言動により、妊娠・出産した女性労働者や育児休業等を申出・取得した労働者の就業環境が害されることです。

2017年1月1日より事業主に対し、妊娠・出産・育児休業等に関するハラスメントの防止措置が義務化されています。

 

妊娠・出産・育児休業等に関するハラスメントの具体例

妊娠・出産・育児休業等に関するハラスメントは、厚生労働では以下のように定義されます。

「職場」において行われる上司・同僚からの言動(妊娠・出産したこと、育児休業等の利用に関する言動)により、妊娠・出産した「女性労働者」や育児休業等を申出・取得した「男女労働者」等の就業環境が害されること

 

参考:厚生労働省 職場におけるハラスメント対策マニュアル

 

具体例としては次のようなものがあります。

  • 育児休業の取得希望に対し「休みをとるなら辞めてもらう」と圧力をかける
  • 育児短時間勤務を利用している社員に対し「早く帰れる人は気楽でいいね」と言う
  • 妊娠している社員に対し「妊娠するなら忙しい時期を避けてほしかった」などと文句を言う

妊娠・出産・育児休業等に関するハラスメントについて、従業員に周知しましょう。

 

妊娠・出産・育児休業等に関するハラスメントに対し必要な措置

厚生労働省が公表する資料では、事業主に対し、以下11項目の対策措置を命じています。

 

◆ 事業主の方針の明確化及びその周知・啓発

  • 妊娠・出産・育児休業等に関するハラスメントがあってはならない旨の方針・制度等の利用ができることを明確化し、管理・監督者を含む労働者に周知・啓発すること
  •  妊娠・出産・育児休業等に関するハラスメントに係る言動 を行った者については、厳正に対処する旨の方針・対処の内容を就業規則等の文書に規定し、管理 ・ 監督者を含む労働者に周知・啓発すること

 

◆相談(苦情を含む)に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備

  • 相談窓口をあらかじめ定めること
  • 相談窓口担当者が内容や状況に応じ適切に対応できるようにすること

 

◆職場におけるハラスメントへの事後の迅速かつ適切な対応

  • 事実関係を迅速かつ正確に確認すること
  • 事実確認ができた場合には、速やかに被害者に対する配慮の措置を適正に行うこと
  • 事実確認ができた場合には、行為者に対する措置を適正に行うこと
  • 再発防止に向けた措置を講ずること

 

◆職場における妊娠・出産等に関するハラスメントの原因や背景となる要因を解消するための措置

  • 業務体制の整備など、事業主や妊娠等した労働者その他の労働者の実情に応じ、必要な措置を講ずること

 

◆併せて講ずべき処置

  • 相談者・行為者等のプライバシーを保護するために必要な措置を講じ、周知すること
  • 相談したこと、事実関係の確認に協力したことを理由として不利益な取扱いを行ってはならない旨を定め、労働者に周知・啓発すること

参考:厚生労働省 職場における妊娠・出産・育児休業・介護休業等に関するハラスメント対策やセクシュアルハラスメント対策は事業主の義務です!

 

措置義務に違反すると事業主に対し勧告が行われ、従わない場合には社名が公表されます。対策をしていない会社は、すぐに措置を行いましょう。

 

職場で起こるハラスメントの種類

職場で起こるハラスメントにはたくさんの種類があります。

一般社団法人ハラスメント協会が発表している「職場でよくあるハラスメント」の種類は、2022年時点で39種類です。

その中で、ここからは特に職場で起こりやすいハラスメントを紹介します。

すべてのハラスメントを知りたい方は、以下の一般社団法人ハラスメント協会ホームページで確認してください。

参考:一般社団法人ハラスメント協会ホームページ『ハラスメント種類最新(2022年版)』

 

コロナハラスメント/コロハラ

新型コロナウイルスという社会問題を建前にして、人をばい菌扱いすることや、差別、暴言、排除、強要などをする行為です。

日本でコロナが流行したばかりの時は、「咳をしただけで怒鳴る」「不当に長く自宅待機させる」など感染の疑いがある人を必要以上に避ける動きが目立ちました。

そこで政府や各自治体では、コロナハラスメントとして差別の防止を呼びかけています。

 

リモートハラスメント/リモハラ

ZOOMやTeamsなどWeb会議システムを通したやりとりの中で起きるパワハラやセクハラなど、リモートワークで起きるハラスメントです。

例えば「むやみにプライベートに言及する」「サボらないよう必要以上にプレッシャーをかける」などです。

リモートワークツールを使うと、やり取りが画面越しになり距離感が測りにくくなります。業務量も測りにくくなるため、必要以上に他社に干渉する人が増えるのです。

相手の立場を考え、想像力を働かせた言動をするよう促すことが重要です。

 

ロジカルハラスメント/ロジハラ

論理的な言葉をぶつけることで、強く相手を追い詰める行為を示します

ロジハラは、「職場で意見が合わず対立する場面」「部下への指摘・注意の場面」などで起こりがちなパワハラの一種です。

論理的な言葉は、業務やサービス向上などに欠かせないものです。

しかし、指導の仕方が適切でない場合には、相手の精神状態に悪影響を与えてしまい、ロジハラとして扱われてしまう可能性があります。

相手の心の動きを考慮し、配慮した伝え方を行うことが大切です。

 

新型パワーハラスメント/新型パワハラ

やる気のある人間に対して、力を発揮できない状況に誘導する行為を示します。

「頑張っても得られるものがない」「言われたことだけしてて」などやる気のある社員を無気力に変えてしまうような発言は、新型パワハラとして扱われる可能性があります。

新型パワハラの要因には、部下の評価が高まり自分の立ち位置や業務内容が変化することへの恐れなどがあります。

個の実績ではなく、組織としての実績が評価に繋がることを明確化・周知するなどの取り組みをして対策しましょう。

 

マタニティハラスメント/マタハラ

妊娠をしている人や出産を終えた人に対する、嫌がらせ行為です。

短時間労働や休業を申請する従業員に対して「業務が楽で羨ましい」と言う、妊娠した女性に「なぜ忙しい時期に妊娠するんだ」といった発言をすることはマタハラに該当します。

マタハラは業務量が多く、人員が不足している環境で起こりやすいです。自社の職場環境を改善し、マタハラを防止しましょう。

 

モラルハラスメント /モラハラ

倫理や道徳に反した嫌がらせやいじめのことです。

部下への直接的な暴力や暴言によって相手に苦痛を与えるのがパワハラであるのに対し、モラハラは発言や行動、態度などで精神的に相手を追い詰める行為です。

具体的には、「日常的に相手を無視する」「訓練されていない仕事を振る」などがあるといえます。

自己主張が苦手な社員や真面目で責任感が強い社員は、モラハラを受けやすいとされています。

モラハラ防止には、相談窓口の設置や罰則の周知、ハラスメント研修の実施が効果的です。

 

セカンドハラスメント/セカハラ

ハラスメント被害者が被害を他人に訴えることで、二次的被害を受けることです。

具体的には、ハラスメント被害について「勘違いではないか」と軽んじて相手にしない、「〇〇さんは悪気がないんだから」などと加害者を擁護するといった行為です。

セカハラが多くなると「相談しても意味がない」とハラスメントの被害者が悩みを抱えこんでしまいます。

被害者の方が安心して相談できるような体制を整えることが大切です。

 

ハラスメントハラスメント/ハラハラ

上司などに対し、何かにつけて『これはハラスメントだ』と主張する行為です。

ハラスメントが問題視されている現在、上司や管理者にはハラスメントに対する知識や対策が求められています。

一方、状況を逆手にとってハラスメントを主張し、上司や管理者を不利な状況に追い込もうとする従業員が出てきました。

「ハラスメントではないもの」「ハラスメントに該当するもの」を社内共有し、ハラハラ対策に取り組みましょう。

 

パーソナルハラスメント/パーハラ

個人の外見や趣味など、その人の個性を否定するような発言や嫌がらせの行為を示します。

「デブ」「キモい」など言葉で外見を否定する発言や出身校・出身地について「だから〇〇はいやだ」などその人の個性を否定する行為です。

パーハラを防ぐには、パーハラに該当する言動を社内に周知し、パーハラを許さないという空気を作ることが大切です。

 

ジェンダーハラスメント/ジェンハラ

性別によって社会的役割が異なるという、固定化された概念に基づく嫌がらせ行為です。

例えば「女性だから掃除して」「男性だから残業しろ」と発言したり、性別により特定の業務を強いたりすることがジェンハラに該当します。

男女比の割合が偏った職場では異性に対して意見が言いづらく、性別の概念による仕事依頼を断りにくくなるため、ジェンハラが起きやすいです。

ジェンハラの存在を周知してハラスメント研修を実施するなど、性別による社会的役割の概念を無くす取り組みが大切です。

 

エンジョイハラスメント/エンハラ

楽しそうに働いていない社員に対して、楽しみながら働く姿を見せるよう強要する行為を示します。

本来、仕事に対する感情は個人のものであり、自然と出てくるものです。楽しんで働くことを強要し個人の感情を尊重しない行為は、エンハラに該当します。

また、職場の飲み会やイベントの際、「絶対に参加した方が楽しいから」と参加を強要する行為もエンハラです。

楽しさを強要するのでなく、楽しく働ける環境づくりに力を注ぐことが大切です。

 

カスタマーハラスメント/カスハラ

顧客や取引先という立場の優位性を利用し、悪質な要求やクレームを行う行為のことです。

例えば「従業員や店舗スタッフに大声で謝罪を要求する」「SNS上で動画を拡散させると脅す」など顧客や取引先による悪質な行為を示します。

「お客様は神様」という固定概念が、カスハラを生み出す要因ともいわれています。

カスハラを受けた際の対策マニュアルを作成し、従業員に周知しましょう。

 

お菓子ハラスメント/オカハラ

 職場にいる特定の人にだけお菓子を分けない、旅行に行く人に対してお土産のお菓子を強要するなどの迷惑行為です。

オカハラを防止するためには、以下のようなルールを設けることが効果的です。

  • お菓子・お土産を置く場所を決める
  • 個々が手渡しで配ることを禁止する
  • お土産の受け渡しを禁止する
  • 早いもの勝ちというルールを決め、貰えない方へ配慮する

お菓子を貰えなかったことに対し不快感を感じる従業員や、お土産を強要され迷惑に感じる従業員もいます。

会社でルールを決め、オカハラを防止しましょう。

 

コミュニケーションハラスメント/コミュハラ

他人とコミュニケーションを取る事が苦手な人に対し、必要以上にコミュニケーションを強要する行為です。

「おとなしすぎる」「静かすぎる」などコミュニケーションに関して相手の特性を否定する発言がコミュハラに該当します。

また「場を盛り上げろ」と強要する行為もコミュハラです。

個人によって性格が違うことをお互いが理解し、配慮することが求められます。

 

スモークハラスメント/スモハラ

喫煙者がタバコの煙などで非喫煙者に不快な思いをさせてしまうことです。

健康意識が高まるなか、受動喫煙での健康被害を懸念する社員は少なくありません。

会議中や打ち合わせ中に喫煙を始める上司や同僚がいれば、周りの従業員は不快に感じる可能性が高いです。

また、非喫煙者に対し喫煙を強要する行為もスモハラに該当します。喫煙ルームを設置する、喫煙場所を決めるなどの対策をしましょう。

 

テクノロジーハラスメント/テクハラ

パソコンやスマートフォンなどのテクノロジーに詳しい人が、そうでない人に対して嫌がらせをする行為です。

テクハラは、デジタル化が進む時代において広まりつつある新しいハラスメントの一種です。

PCやデジタルツールの操作が苦手な人に対し「こんなこともできないの」と心ない言葉をかけたり、叱責したりする行為はテクハラに該当します。

 

また、わざとIT関連の専門用語を多用した説明をする、高度なITスキルが必要な業務を知識のない社員に強要する行為もテクハラです。

デジタル化が進む現在ですが、ITリテラシーの程度には差があります。IT知識やスキル研修を実施する、テクハラの存在を周知するなどの対策が必要です。

 

各種類のハラスメントを防止するためには

職場におけるハラスメントの種類は様々であり、すべてのハラスメント対策に取り組むのは非常に大変です。そこでここでは、複数のハラスメントに共通する対策方法を紹介します

 

相談ができる体制の整備

ハラスメントの被害が明らかにならなければ、ハラスメントは続いてしまいます。

ハラスメントを防止するには、ハラスメント被害者が安心して相談できる窓口の設置、相談ルートの確立が必須です。ハラスメント被害の実態を知るため、聞き取り調査やアンケート調査も行うことも重要です。

 

ハラスメントが起きる原因を解消する

職場でハラスメントが確認された場合には、原因を追求し、解消しましょう。原因を見つけなければ、再発する恐れがあるためです。

ハラスメントが起きる原因には、以下のようなものがあります。

  • 従業員や管理者の思い込み
  • マネジメント能力の不足(指導能力・方法など)
  • 職場のコミュニケーション不足
  • 不十分な待遇

どのような原因があるのか調べ、対策を行いましょう。

コミュニケーション不足が大きな課題となっている場合、社員同士の交流を促進するアプリの導入がおすすめです。

従業員同士のマッチング機能、チャット機能を有する『KIWI GO』など、自社に合うものを検討してください。

 

相談者や行為者等のプライバシー保護

ハラスメント被害を相談したことが公になれば、2次被害が発生する可能性もあります。

被害を防ぐため、相談を受ける側は被害者や行為者のプライバシーを保護しなければいけません。

安全な相談場所を作るには、相談を受ける立場や対応する立場の職員に教育をする必要があります。具体的な例を示しつつ、対処のマニュアルを作りましょう。

 

方針の明確化と周知・啓発

ハラスメントが軽視されている環境では、ハラスメントに対する抑止力がなくなります。

経営陣に問題意識があっても、当事者である従業員や管理者が「処罰されないからハラスメントをしても良い」と考えていると、対策の効果は出にくいです。

ハラスメントは絶対にいけないことだと、全社員へ明確に伝えましょう

ハラスメントに該当する行為を具体的に紹介し、周知する活動も大切です。意識改革を行い、ハラスメントを防止しましょう。

 

ハラスメント発覚後の迅速な対応

ハラスメントに発覚後の対応の遅さは、さらなる被害につながります。迅速に厳しい対応を行い、ハラスメントを許さないという雰囲気を作りましょう。

 

迅速に対応するためには、あらかじめハラスメントが起きた場合の対処方法を明確化し、関係者に周知することが大切です。

 

まとめ:種類のハラスメントの種類を確認し対策をしましょう

現代において、ハラスメントの種類は増え続けています。事業者は、ハラスメントの種類を知り、それぞれの事情や特性に合った対策を行いましょう。

ハラスメントの中には、対策や対応が義務化されているものもあります。働きやすい環境を作るため、義務化されているものから積極的に対策を始めてください。

ハラスメント被害を防ぐには相談場所を作り、迅速かつ適切な対応で社員を安心させることが重要です。

早めに対応すれば、加害者に気付きを与え甚大な被害を未然に防ぐことも可能です。社員がハラスメントに関してどのような不安を抱えているか知り、対策を行いましょう。