近年、新型コロナウイルスによる生活の変化で従業員のストレスが増加しています。

また在宅勤務が増えることで座る時間が長くなり、生活習慣病のリスクも上がっている状況です。

従業員が不調を抱えたまま働くと、生産性低下にもつながります。企業として、積極的に従業員の健康維持や増進をサポートしてください。

本記事では、健康が労働に与える影響や発生し得るリスクと対策方法について解説します。

企業のサポートで従業員の健康につながった具体的な事例も紹介するので、ぜひ参考にしてください。

健康経営ハンドブック

働くことと健康の関係性とは

働くことは人間の社会生活において欠かせない行動のひとつです。

労働により報酬を得たりスキルを身に付けたりすることで、日常生活の選択肢が広がり、自分らしい生き方を選択できます。

しかし労働環境が良くない状態では、健康に悪影響が出る可能性もあります。

特に近年、在宅勤務により、精神的なストレスを感じたり運動不足に陥ったりするケースが増えてきました。

リモートワークでは住環境と職場が混ざり合い、境界線がなくなることで長時間労働が常態化しやすいです。

さらに従業員に対するサポート範囲が狭まり、自助努力に任される部分が増えることで従業員の負担が増大します。

働くことで起こりうる問題について、大きなトラブルに発展する前に正しく把握することが重要です。

 

働くことで発生しうる問題

適切な労働環境が構築されていない状態で仕事をすると、心身に悪影響を及ぼす恐れがあります。ここからは労働で起こりうる健康課題について、見ていきます。

 

生活習慣病のリスクが高まる

在宅勤務が増えたことで、運動量が減り体重増加に悩む方が増えています。

日本生活習慣病予防協会の調査では、新型コロナウイルスの感染が拡大する前後で、体調や体重に変化を感じた方が増えていることが明らかになりました。

 

2019年

2021年

体調が「ふつう」と答えた人の割合

40.5%

38.1%

体調が「よくない・あまりよくない」と答えた人の割合

11.3%

14.9%

参考:一般社団法人日本生活習慣病予防協会 新型コロナウイルス感染拡大の陰で起きている体調変化や生活習慣に関する最新調査

運動不足により筋肉量が減り脂肪が増えると、生活習慣病にかかるリスクが高まります。

生活習慣病は「食事や運動・喫煙・飲酒・ストレスなどの生活習慣が深く関与し、発症の原因となる疾患の総称」です。

引用:厚生労働省 生活習慣病

 

生活習慣病の例は次の通りです。

  • がん
  • 糖尿病
  • 肥満症
  • 高血圧
  • 心筋梗塞

また在宅勤務で座位の姿勢を取る時間が長くなることで、「寿命が短くなる」「肥満度が高くなる」「2型糖尿病罹患率や心臓病罹患率が高くなる」といった問題も起こり得ます。

参考:厚生労働省 座位行動

生活習慣病リスクを下げるためには従業員の健康意識を高め、正しい健康習慣を構築することが大切です。

 

健康被害が発生する

仕事によりストレスが蓄積されると、パフォーマンスやモチベーションが低下する可能性があります。

特に長時間労働による健康被害は少なくありません。

長時間労働が続けば疲労が蓄積されますが、疲れによりパフォーマンスが下がれば上司から叱責されることもあります。

過酷な労働環境により過度にストレスが蓄積されると、次のようなトラブルの発生につながります。

  • 脳や心臓の疾患(過労死)
  • 睡眠障害
  • 胃十二指腸潰瘍
  • 過敏性大腸炎
  • 腰痛
  • 月経障害

健康被害を防ぐには、ストレス発散の機会を増やしたり、ストレスの原因を減らしたりする対策が必要です。

参考:一般社団法人新潟労働衛生医学協会 長時間労働による健康障害

 

メンタル不調で生産性が低下する

仕事のストレスは身体だけでなく精神面に悪影響を及ぼすこともあります。

メンタル不調に陥ると身の回りのことへの興味関心が薄れ、仕事に対するモチベーションが低下します

また注意力や判断力が低下することで、大きなミスにつながる可能性も少なくありません。

従業員がうつ病に罹患し離職や休職をすれば、他の従業員の負担が増加します。業務負担が増えることで、他の従業員がストレスを抱え離職や休職をするケースも考えられます。

メンタル不調は人間関係がきっかけで発生するケースが多いです。

従業員同士が円滑にコミュニケーションを取れるようサポートし、トラブルを相談しやすい環境を作ってください。

参考:厚生労働省 精神障害の基礎知識とその正しい理解

 

従業員の運動を習慣化し、健康を促進させるKIWI GOの活用事例集はこちら

 

働く際に受けるストレスの種類

厚生労働省が2021年に公表した労働安全衛生調査により、労働者の50%以上が職場でストレスを感じていると明らかになりました。

ただしストレスにはさまざまな種類があります。ここからはストレスの種類と概要を解説するので、ぜひ参考にしてください。

なお、深刻なストレスは取り除く必要がありますが、すべてのストレスを0にする必要はありません。

適度なストレスであれば、本人にも会社にもポジティブな作用をもたらします。

ストレスに関する基礎知識を深め、時と場合に応じて適切に対処してください。

参考:厚生労働省 労働安全衛生調査(実態調査)

 

物理的ストレッサー

物理的な刺激によるストレスです。温度や光、音、においなど、職場環境の中で違和感を覚えるとストレスの要因となり得ます。

たとえばエアコンの効きが悪く空調管理が行き届いていない場合や、喫煙エリアがしっかりと分けられていないようなケースが当てはまります。

物理的ストレッサーを減らすためには、設備面の見直しが大切です。

  • 職場(室内)の明るさを適正にする
  • 空調設備を入れる
  • 喫煙ルームを設置する

まずは新しい設備が不要な範囲で、改善策を考えてください。

 

心理的ストレッサー

心理的ストレッサーとは、社会生活を営む上で感じるストレスです。「心理的+社会的ストレッサー」と呼ばれることもあります。

仕事や家庭生活の中で焦りや不安、怒りなどを感じると、ストレス値が上昇しやすいです。

仕事面における心理的ストレスの例は次の通りです。

  • 時間に追われる
  • 課題が課される
  • 身体的な身の危険を感じる
  • 自尊心やプライドが傷つれられる

従業員に過度な業務を課していないか、ハラスメントが横行していないか確認し、対策を立てる必要があります。

 

社会的ストレッサー

社会的ストレッサーは、社会的社会生活を営む中で発生するストレスです。人間関係の悪化や昇進への不安などが要因となり得ます。

心理的ストレッサーと共通する部分も多く、社会的ストレッサーは心理的ストレッサーにもなり得ます。社会的ストレッサーの対策方法例は、次のとおりです。

  • 従業員の交流を促しいつでもコミュニケーションが取れる環境を作る
  • 面談の機会を設けメンタルケアをおこなう

従業員同士が円滑な人間関係を築けるよう、企業としてサポートすることが大切です。

 

生理的ストレッサー

生理的状況の変化に伴うストレスを生理的ストレッサーといいます。具体的には、空腹や睡眠不足といった生理現象からくるストレスです。

不規則な勤務体系や過重労働は、心理的ストレッサーの要因になり得ます

十分な休息を得られるようサポートする、不規則な勤務体系を見直すといった対策を早急におこなってください。

 

ストレスチェックの意味や役割

仕事によるストレス負荷が大きくなりすぎないよう、まずは現状を理解する必要があります。従業員のストレスを把握するには、定期的なストレスチェックが最適です。

2015年以降、50名以上の従業員を持つ事業所ではストレスチェックが義務となりました

ストレスの状態を把握することで、職場環境の改善点や従業員が必要としている対策のポイントが明確化します。

健康的な職場環境を整えるための指標として、ストレスチェックを活用しましょう。なお厚生労働省のサイトでも簡単にストレスチェックができるので、ぜひ参考にしてください。

参考:厚生労働省 5分でできる職場のストレスチェック

 

ストレスチェックのメリット

ストレスチェックで得られる最大のメリットは、従業員が健康的に働けることです。毎日生き生きと働くことで、社内の雰囲気が変わり仕事へのモチベーションも向上します。

また従業員が健康的になれば、副次的に以下の効果も期待できます。

  • 生産性の向上
  • 離職率の低下
  • 優秀な人材確保
  • 企業ブランド力の向上

体調がよくモチベーションが高く維持されているときは、より良いアイデアが生まれたり作業効率がアップしたりします。

従業員に対する健康投資は、費用対効果の非常に高い施策です。

従業員の健康を企業がサポートすることで生まれる効果は、次の記事で詳しく解説しています。ぜひ参考にしてください。

参考:健康経営は費用対効果が大きい!導入の必要性や効果について紹介

 

ストレスチェックの実施手順

ストレスチェックは最低でも1年に1回実施する必要があります。実施の際は厚生労働省のマニュアルを確認してください。

参考:厚生労働省 ストレスチェック制度 導入マニュアル

 

ストレスチェックを実施する際の手順は以下の通りです。

出典:厚生労働省 ストレスチェック制度 導入マニュアル

現在はオンラインでもストレスチェックを実施できます。在宅勤務を導入している場合も、忘れずストレスチェックをおこなってください

 

働くことと健康を意識した企業の対策事例3選

ここからは従業員の健康をサポートするために、企業が実践した対策事例と効果を具体的に紹介します。

富士オフィス&ライフサービス株式会社

出典:富士オフィス&ライフサービス株式会社

富士オフィス&ライフサービス株式会社は保険や不動産、人材派遣、介護福祉のほかオフィスに関わる各種サービスを提供する企業です。

ノー残業デーの設定を始めとして、働きやすい職場環境作りを目標にした次の取り組みを実施してきました。

  • 定時退社をめざす「リフレッシュデー」の実施
  • リフレッシュデーの終業後、年に1~2回スポーツ大会を開催
  • 部署の垣根を越えて従業員同士で支援し合う「スマートワーク方式」の実施

上記のような取り組みの結果、所定時間内での業務処理が従業員にも定着しました。リフレッシュデーは浸透率が高く、企業文化にも発展しています。

参考:厚生労働省 中小企業に役立つ時間外労働削減の事例集

 

東京ラインプリンタ印刷株式会社

出典:東京ラインプリンタ印刷株式会社

東京ラインプリンタ印刷株式会社は印刷物の加工や発送、付随業務を営む企業です。

「社員は会社にとって最大の財産である」をモットーに、従業員の親睦や福利厚生を推進することで、健康的な職場環境作りに取り組んでいます。

具体的な施策内容は以下の通りです。

  • 社員旅行の企画
  • 貸付金制度の設定
  • 慶弔関連の制度を設定
  • 短時間勤務制度や時差出勤制度を設定
  • 病気による長期休業者に経済的支援ができる保険商品を導入

また健康診断の結果を比較できるシステムの導入、栄養士による食事のチェック、産業医の保健指導が受けられるサービスも始めました。

上記のサービスは利用した従業員から高く評価されています。

参考:厚生労働省 職場づくりの事例集

 

西日本ビジネス印刷株式会社

出典:西日本ビジネス印刷株式会社

西日本ビジネス印刷株式会社は総合印刷業のほか、ソフト開発やコンテンツ作成を手がける企業です。働きやすい環境作りのため、次の対策を実施しています。

  • 相談窓口の設置
  • メンタルヘルス研修
  • メンタルヘルス推進委員会の設置と定期開催
  • 社内の整理整頓といった職場環境改善活動の実施
  • 毎朝のラジオ体操の実施
  • 毎月第2水曜にストレス関連のセルフチェックを実施

取り組みの結果、従業員の心の健康づくりに対する意識が向上しました。

また「心の健康づくり計画」をホームページ上で公表することで、離職率低下や採用成功などの副次的なメリットも発生しています。

参考:厚生労働省 職場のメンタルヘルス対策の取り組み事例

 

まとめ:健康はパフォーマンス向上につながる!労働環境の見直しは必須

働くことは人間の生活における選択肢を広げ、人生を豊かにする行動のひとつです。ただし労働環境が適切な状態でない場合、心身に不調をきたす恐れがあります。

従業員一人ひとりが健康に意識を向け、労働と健康のバランスを保てるような環境を企業側が作ることが大切です。

従業員の健康促進には、社内の運動不足解消と交流を促す福利厚生アプリ「KIWI GO」が最適です。

「KIWI GO」では歩数に応じたポイントが貯まり、貯まったポイントを好きなごほうびと交換できます。

ゲーム感覚で始めることができるので、普段運動習慣のない人でも歩くことを意識づける良いきっかけになります。

チームを作ってイベントを開催することもできるので、従業員同士のコミュニケーションを促すのにもおすすめです。

働きやすい環境作りを目指す企業や従業員の健康意識を高めたいと考えている企業は、ぜひご利用ください。

KIWI GOに関する詳細は以下の概要資料にもまとめております。無料でダウンロードできますので、ぜひご覧ください。

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