近年「ウェルビーイング」という概念が注目を集めています。このウェルビーングについて聞いたことはあるが、意味をしっかり理解できていないという方も多いのではないでしょうか。

そこで本記事では、ウェルビーイングとは何なのかについて触れたのち、具体的なウェルビーイングの取り組みとしてどのようなものがあるのか、また何から取り組めばいいのかについて、記載しています。

ウェルビーイングについて知りたい方、ウェルビーイングに関する取り組みに悩んでいる方は、ぜひ参考にしてください。

 

ウェルビーイングとは?

ウェルビーイングは、直訳すると「良い在り方」「幸福」「福祉」「満足な生活状態」などといった意味です。

「健康」という意味でも使われますが、ここでいう健康とは単に肉体的な健康に留まらず、精神的、さらには社会的な面も含めた健康を指します。

WHOの「健康」の定義にも英語で「well-being」と明記されており、その箇所の日本語訳は「すべてが満たされた状態」です。

ウェルビーイングは、心身・社会が全て満たされ充実した状態を作るうえで、目標となる言葉だと言えるでしょう。

 

ウェルビーイングが重要な理由

近年ウェルビーイングが重視される背景には、価値観の変化があります。少し前まで、会社のために全てを懸けて働くことが美徳とされる時代もありました。

しかしその反動として、自殺や過労死やうつ病といった問題が社会的に表面化してきたのも事実です。

そして、ここ十数年の間に「社畜」「ブラック企業」といった単語が話題になり、また新たに「ワークライフバランス」という概念が提唱されるようにもなりました。

 

さらには、コロナ禍の影響で、フレックスタイム制やリモートワークも大幅に加速し、ますます仕事とプライベートを切り分けずに両方を満たしていく生き方が重視されています。

 

今後もこうした流れは続いていくと見られるので、ウェルビーイングを重視し心身ともに充実した状態を作ることは、社会の大きな目標となっているのです。

 

ウェルビーイングのメリット

ウェルビーイングには、法人単位から個人単位まで、あらゆる規模においてメリットがあります。具体的にどのようなメリットがあるのか、見ていきましょう。

 

健康経営において大切な要素となる

近頃「健康経営」という単語もよく聞かれるようになりました。

健康経営とは、従業員の健康管理を経営戦略の一つとして位置づけた「国民の健康寿命の延伸」に関する取り組みの一つです。

これまで個人の問題とされていた従業員の健康を、会社の問題と捉えることで、組織の活性化につながると期待されています。

この健康経営とウェルビーイングには、密接な繋がりがあります。

 

というのも、健康経営において精神面での充実は不可欠だからです。

メンタルヘルス対策を行うにあたって、ウェルビーイングの考え方はとても役に立ちます。

健康経営を今後導入しようと考えている企業は、ウェルビーイングの考え方についても学んでおくと良いでしょう。

 

社員の人生の幸福度が上がる

ウェルビーイングには、肉体的だけでなく、精神的かつ社会的な面も含まれています。

そのため、ウェルビーイングの考え方は会社内だけでなく、会社外の時間を充実させることに繋がります。

自身の仲間や家族、1人の時間を大切にしながらプライベートを過ごすことで、会社で働く際の満足度もアップします。

働く時間以外にも幸福を感じる瞬間が増えれば、従業員のさらなるよろこびにつながるでしょう。

 

自社のイメージアップに繋がる

社員が満足して働けている会社は、外部からも良い印象を持たれます。

所属している会社での働き方に満足できており、プライベートも充実していれば自然と離職率は低下します。

就職活動などで働きやすさが重視されているいま、離職率の低さを応募の決め手とする求職者は少なくないでしょう。

このように、社員の満足度向上により良い噂が広がり、自社のイメージアップに繋がるのです。


個人で取り組めるウェルビーイング

ここからは、個人で取り組めるウェルビーイングの事例を紹介します。

法人のように戦略を練る、企画書を作成する、という大がかりなことをやる必要がないため、取り組みやすいことが特徴です。ぜひ気軽に取り入れてみてください。


周囲と積極的にコミュニケーションをとる

コロナ禍の現在、誰とも話さず繋がりが薄れた状態が続いたことで、メンタルヘルスに不調をきたす人が増えました

人間は社会的生き物ですから、必ず何かしらのコミュニティに所属しています。そのコミュニティ内の人たちと積極的に会話し、心を充実させましょう。

積極的に会話できる仲間がいない場合、SNSなどを利用して同じ趣味の仲間を見つけたり、友達を探すのもおすすめです。

もちろんSNSの利用にはリスクもありますが、自分と同じ悩みや不安を持つ人をフォローし、投稿をチェックするだけでも勇気づけられることは多いでしょう。

 

意識して身体を動かす

現代人は、パソコンやスマートフォンを長時間見ることになりがちです。結果、眼精疲労や肩こりからくる不調に繋がる可能性があります。

少し身体を動かすように意識するだけでも、疲労度がぐっと変わります

1時間に1回は電子機器から目を離して休憩する、トイレに行ったら肩を回してストレッチする、といったことから続けてみましょう。

 

ライフスタイルメディアから情報を取る

女性向けの事例になりますが、アラサー世代の女性へ向けたファッション誌・ライフスタイル誌である『CLASSY』では「ウェルビー女子」という単語が生まれています。

定義としては「心身ともにヘルシーな女性のこと」「忙しい毎日でも無理せず自分らしく暮らすアラサー女子のこと」と表現されています。

精神的にも経済的にも自立しており、休日には料理や運動といった余暇を楽しむ、そんな女性像が提案されているのです。

もちろんあくまで提案のため、この通りにふるまわなければならない、というわけではありません。

ただ、同世代の同性の取り組みを参考にして、共感できる箇所から毎日の生活に取り入れてみるのも良いでしょう。

 

今後、ウェルビーイングが注目されるにつれ、他の世代、他の性別をターゲットとしたメディアでもウェルビーイングに関する取り組みが特集されるようになるかもしれません。

 

ウェルビーイングに興味があるなら、そうした最新の情報には常にアンテナを張っておきましょう。

 

経営に関するウェルビーイングの事例

ここでは、経営に関連する法人のウェルビーイング関連事例を紹介します。

業界を問わず様々な取り組み事例があるので、自社の状況と照らし合わせながら導入の参考にしてみてください。

 

トヨタ自動車株式会社

出典:トヨタ自動車株式会社

トヨタ自動車株式会社は、国内のみならず国外にも多くの支社を持つグローバル企業です。

世界中の人が幸せになるモノやサービスを提供するため、社員が心身ともに健康で活躍し続けることを企業活動の基盤としています。

経営理念であるトヨタフィロソフィーの中には「わたしたちは、幸せを量産する。」と明記されており、従業員のウェルビーイングについて積極的に取り組んでいることがわかるでしょう。

トヨタ自動車株式会社には生産性に重きを置いている企業、といったイメージがありますが、ここでのポイントは企業だけでなく従業員の幸せのための生産性という点です。

 

具体的な取り組みとしては以下があります。

  • ストレスチェックの実施
  • 機関紙や社内メールを通した、ヘルスリテラシー向上の情報発信
  • 育児・介護休業からの復職率上昇
  • 年次有給休暇の取得率上昇
  • 時間外労働の減少
  • 休憩時間や隙間時間の肩こり解消チャレンジの実施

 

また、VALUEであるトヨタウェイにも「パートナー」という欄があり「ともに幸せをつくる仲間(顧客、社会、コミュニティ、社員、ステークホルダー)を尊重し、それぞれの力を結集する。」と記載されています。

このことから、単に従業員の枠に留まらず、より大きな社会まで見据えた枠組みの中で、それぞれが幸せを追求するウェルビーイングに取り組んでいることが分かります。

参考:トヨタ自動車株式会社 トヨタフィロソフィー

参考:トヨタ自動車健康保険組合

 

楽天グループ株式会社

出典:楽天グループ株式会社

楽天グループ株式会社は、Eコマースや通信など様々なサービスを展開している企業です。

楽天グループ株式会社は、企業も個人も、自らの進むべき方向性を自律的に選択することが求められる時代になっていくことを見越し、ウェルビーイングに取り組んでいます。

具体的には、楽天ピープル&カルチャー研究所にて「コレクティブ・ウェルビーイング」という、ウェルビーイングに関するガイドラインを作成しています。

楽天グループ株式会では、コレクティブ・ウェルビーイングを「ある目的のもとに、ありたい姿を持つ多様な個人がつながりあった持続可能なチームの状態」と定義しています。

 

そのために、「企業」と「働く個人」の両側面から「仲間」「時間」「空間」の3つの要素の設計と、それぞれに「余白」を設けることを大切にしています。

 

特にこの「余白」は特徴的な考え方であり、心にゆとりを持つからこそ、仕事にも精力的に取り組めるという姿勢が現れていると言えるでしょう。

 

では、その「仲間」「時間」「空間」と「余白」を実施するための施策として何があるかというと、具体的には以下です。

 

  • チームメンバーが大切にしている価値観を理解する
  • オン/オフの切り替えやリフレッシュの予定を計画する
  • 能力を最大限発揮するために、仕事場の環境やツールを整備する

 

このようにして持続的なチームの在り方を検討しています。会社が組織である以上、人の出入りは避けては通れません。

それでも、同じ目的を共有して繋がり合えば、持続的なチームを作ることができるのではないか、ということを教えてくれる事例です。

出典:楽天グループ株式会社 コレクティブ・ウェルビーイング

 

味の素株式会社

出典:味の素株式会社

食品の製造・販売を行う味の素株式会社は、従業員の健康を経営における重要項目として捉え、戦略として取り組んでいます。

味の素株式会社では、食品メーカーらしく、食事、運動、睡眠を中心とした生活習慣を重視した健康推進に積極的です。

 

例えば、「My Health」という従業員専用ウェブサイトでは、自身の健康診断や生活習慣といった健康データを蓄積できる機能があり、従業員が自発的に健康管理に取り組むセルフ・ケアを推奨しています。

さらに、従業員のみならず、その家族の健康の重要性まで戦略の中に明記している点も特徴です。

 

味の素株式会社の取り組みの中心はセルフ・ケアにあり、健康情報を自発的に入手し、人に説明できるくらい理解する状態が求められています。

 

その結果、社員ひとりひとりの健康意識が上がり、心身ともにいきいきと働けるオフィス環境に繋がっていると言えるでしょう。

参考:味の素株式会社 健康経営

 

株式会社アシックス

出典:アシックス株式会社

株式会社アシックスは、スポーツや健康関連の商品やサービスを提供している企業であり、個人と企業が一緒に成長できる企業文化の醸成に取り組んでいます。

株式会社アシックスでは健康経営の一環として「ASICS健康経営宣言」も制定しました。

ASICS健康経営宣言とは、「従業員とその家族の”Well-being(身体的・精神的・社会的に良好である状態)”を目指し、健康推進活動を行っていく」という宣言で、健康経営とウェルビーイングが密接に関わっていることを示しています。

また、株式会社アシックスは自社の強みを活かし、自社開発の健康増進プログラム「ASICS HEALTH CARE CHECK」を従業員に実施してきました。

 

具体的な取り組みとしては、次のようなものがあります。

  • ストレスチェック
  • 保健師による全社員面談
  • 運動推進セミナー
  • アシックスアトリウム
  • メンタルヘルス研修
  • 治療と仕事の両立支援

これらの施策を通して、メンタル面とフィジカル面の双方から健康増進にアプローチしています。

特に、持病を抱えていても、仕事と両立できる環境整備に取り組んでいるのは、健康に関するサービスを提供している自社の強みを活かした考え方です。

参考:アシックス株式会社 アシックスの健康経営

 

ツカサ工業株式会社

出典:ツカサ工業株式会社

ツカサ工業株式会社は、粉を扱うさまざまな機械やプラントを設計・製造・販売しているメーカーであり、「健康経営優良法人2021」にも認定されています。

ツカサ工業株式会社の健康経営・ウェルビーイングに関する取り組み事例は、次のとおりです。

  • 残業時間管理による時間外労働の削減
  • バースデー休暇導入等有給取得率の向上
  • 各種ハラスメントや嫌がらせを排除し従業員の人権を尊重
  • 健康診断やメンタルヘルスチェックを年一回実施、インフルエンザ予防接種社内接種(費用会社負担)
  • 「座りすぎ」による健康リスクを軽減するため、昇降式デスクを全事務所に導入
  • 屋内禁煙(敷地内での喫煙は指定の中庭のみ可)

そのほかにも、広く日本の未来の視点から、次世代を担う子ども達の育成にも貢献しています。

 

具体的には「半田市少年少女発明クラブ」を設立し、子どもたちに「作る楽しさ」や「工夫する楽しさ」を伝え、創造力豊かな人間を育成する教室を開いています。

また、地元教育機関からの職場体験の受け入れも実施しており、未来の日本の「モノづくり」を支える子ども達を育て、支援しています。

参考:ツカサ工業株式会社 SDGsへの貢献

 

自社ならではの取り組みを作るポイント

他社の取り組みをまるごと真似しても、自社とは状況が異なるため上手くいくかどうか分かりません。自社ならではの取り組みを実現するため、次のポイントを見ていきましょう。

 

自社の特徴を踏まえる

ウェルビーイングに取り組む際は、自社の特徴を踏まえて実施内容を考えるのがおすすめです。

例えばパソコン仕事が多い職場環境であれば、日頃できない自然の中で身体を動かす機会をつくる、高いサービス精神が重視される業態なら、社員もお客様としてもてなし、日頃の感謝を込める。

上記のように、自社の特徴を分析することで、自社のスタイルを強化することができます。

 

社員アンケートを取る

経営陣で考えても案が出てこない、これでいいのか分からない、社員の考えていることが読めない、といった悩みがある場合、直接聞くのも手です。

社員が何を望んでいるのかアンケートを取るなどして、現場の生の意見を吸い上げてみましょう。

このアンケート作成も、まったくのゼロベースの記述式にするのか、ある程度の選択肢を持たせた形式にするのか、やり方は様々です。

 

正解はありませんが、あくまで「自社をよりよくするにはどうすれば良いか」の視点から取り組めると良いでしょう。

 

業界や規模間が似た企業をリサーチする

自社と業界や規模間が似た企業が、どのようにウェルビーイングに取り組んでいるのかを調べます。

 

もちろんゼロから考えることも大切ですが、他社の良い部分は積極的に真似することで、より最短でウェルビーイングに取り組むことができます。

 

何をしているのか具体的な事例を知ることで、サンプルの幅が広がります。それによって真似をしやすい箇所が分かったり、自社ならではの独自性に気づくことができるでしょう。

 

対面でコミュニケーションをとる

ただ単に、ウェルビーイングが大事だと言われているから、そのまま機械的に実践しました、という取り組み方だと、たとえ理論上は合っていても、社員の心はついてきません

地道な日々の対面コミュニケーションをとってこそ、経営陣側の意見も伝わりますし、社員側の意見も知ることができます。

お互い歩み寄ることで社内の風通しがよくなり、本当に自社にとって必要なウェルビーイングの取り組みにつながるでしょう。

 

まとめ:ウェルビーイングの事例を知って経営に活かそう

ウェルビーイングは、心身ともに健康に生きていくために大切な考え方です。ますます多様化していく時代において、その考え方の重要性はさらに上がっていくでしょう。

従業員と企業のどちらか片方ではなく、両方が主体的にウェルビーイングに取り組むことで、より効果も上がりやすくなります。

今回ご紹介した事例を参考にしながら、積極的に行動してみましょう。

 

また、従業員の健康増進を目標としているなら、ぜひKIWI GOアプリを使ってみてください。

社員の運動と社内交流を推進するために開発されたアプリであるため、社員の運動不足やコミュニケーション不足にお悩みの企業におすすめです。