健康経営は、従業員の健康維持・増進を促すことで企業の生産性を高める経営戦略の一種です。福利厚生に健康経営を取り入れると、企業にとって複数のメリットが発生します。

そのため、「健康経営を導入したい」「健康経営に適した福利厚生が知りたい」と思っている方も多いのではないでしょうか。

そこで今回は、健康経営を福利厚生に導入する具体的なメリットや、おすすめのサービスを8つご紹介します。

健康経営を通して福利厚生を充実させ、従業員の健康と企業の成長を促進しましょう。

 

健康経営は福利厚生に必要?

そもそも健康経営とはどのような制度なのでしょうか。適切な形で健康経営を導入するためには、まずは健康経営に関する基本的な知識を深めておくことが大切です。

ここでは、健康経営の概要や福利厚生との違い、健康経営が推進されている背景についてご紹介します。健康経営が気になっている方は、ぜひ参考にしてください。

 

健康経営とは

健康経営とは、従業員が健康になることで企業の発展や経済的な効果を得ることを目的として、計画的に実践する経営戦略のことです。

具体的には、「健診制度を見直す」「運動に取り組みやすい環境を作る」「メンタルケアのセミナーを開催する」といった施策が挙げられます。

従業員が生き生きと生活することで、仕事に対するモチベーションが上がり、画期的なアイデアが生まれたり質の良い取り組みが見られたりするようになります。

健康経営は、結果的に企業に利益が還元されることを見越し、従業員に先行投資する「経営手法」の一種です。

 

福利厚生とは

福利厚生は、給与や賞与などの労働対価以外の側面から、従業員の生活を支えるためのサービスです。例えば、次のようなサービスがあります。

  • 通勤手当を支給する
  • 人間ドックの費用を補助する
  • 短時間勤務制度を導入する

「従業員が安心して働き続けられる環境を作ること」に特化しているのが、健康経営との主な違いです。

健康経営では、従業員の健康促進は目的を達成するために必要不可欠な要素ではあるものの、最終目的には「企業への利益還元」が設定されています。

 

健康経営が推進される理由

一昔前までは、「従業員の健康は自分で管理するもの」とされてきました。しかし、現在では、経済産業省によって「企業による従業員の健康維持・増進」が推進されています。

健康経営が推進されている背景として、少子高齢化が大きな要因となっています。現在の日本では働き手が不足しているうえ、高齢化も進んでいるのが現状です。

同じ会社で長く働いてもらうためには、従業員が定着するような魅力的な企業でなければなりません。また、従業員自身も健康で居続ける必要があります。

健康経営に取り組めば、こういった問題を一度に解決できます。健康経営を実施することで従業員が元気に働き続けられるようになり、企業の経営も安定するでしょう。

 

福利厚生に健康経営を取り入れる5つのメリット

健康経営には具体的にどのようなメリットがあるのでしょうか。

福利厚生に健康経営を取り入れることで、企業側と従業員側双方に複数のメリットがあります。その中でも特に企業にとって大きなメリットを5つご紹介します。

 

企業の生産性が上がる

従業員が健康的に仕事をすることで、企業の生産性が上がります。生産性とは、商品やサービスを生み出す際の投入コストと利益の割合のことです。

従業員のモチベーションが上がり、仕事に精力的に取り組むようになることで、コスト以上の価値を生み出す可能性があります。

具体的には、一人ひとりが仕事をこなす速度が上がったり、画期的なアイデアや技術が生まれたりするといった効果が期待できるでしょう。

 

企業イメージが向上する

健康経営に取り組むことで、社外からの企業イメージが向上します。

企業のイメージが良くなると、金融機関や公的機関などの優遇制度を利用できるようになるのが主なメリットです。例えば、以下のような恩恵があります。

  • 融資を受けやすくなる
  • 保険料の減額、免除を受けられる
  • 奨励金や補助金を受けられる

優遇制度を利用すれば、無駄な出費を抑えられます。

また、浮いたお金で投資をしたり事業を拡大したりできるため、企業にとって大きなメリットとなるでしょう。

 

体調不良による離職が減る

従業員が健康的になることで、体調不良による休職や離職が減るのもメリットのひとつです。

福利厚生が充実していない企業や、健康経営に取り組んでいない企業の場合、従業員がストレスを抱えやすくなり体調不良に陥る恐れがあります。

従業員が減ると残された人の負担が増大するため、離職率がさらに上がり生産性が落ちることになります

一方、従業員にとって働きやすい環境であれば、一人ひとりの負担が減り、従業員が長く安定的に働くようになるでしょう。

 

健康保険料を削減できる

健康保険料は従業員と企業が折半で支払うため、健康な人が増え医療費が減れば、支払う保険料を削減できます。

日本では、国民皆保険制度を採用しており、国民は医療費の1~3割しか負担する必要がありません。残りの7~9割は保険料や国庫、地方自治体から賄われています。

そのため、日本全体の医療費が増えれば保険料も増え、医療費が減れば保険料も減るのです。

企業が支払う保険料が減れば、浮いた分を事業のために使用できます。事業に投資できる費用を増やすことで、利益を得られるチャンスも大きくなるでしょう。

 

法人税の節税につながる

福利厚生を充実させることは、法人税の節税にも繋がります。福利厚生にかかる費用は、一定の条件に合致する場合、「福利厚生費」として経費計上することが可能です。

福利厚生費は、原則損金算入が認められているため、法人税を算出する際に課税所得を減らすことができます。また、課税対象となる所得が減れば、法人税の節税に繋がります。

手元に残った資産は、従業員に還元したり事業拡大に活用したりと自由に使用可能です。節税効果も確認しながら、取り組み内容を検討しましょう。

 

健康経営を福利厚生に導入する2つの方法

福利厚生には、大きく分けて2つの種類があります。健康保険や厚生年金の加入といった「法定福利厚生」と、社員食堂の設置や育児支援などの「法定外福利厚生」です。

健康経営は法定外福利厚生にあたりますが、具体的にはどのように導入できるのでしょうか。ここでは、代表的な導入方法をご紹介します。

 

自社で対応する

自社で対応できる福利厚生はいくつかあります。一例を挙げると以下の通りです。

  • 社員食堂の設置
  • 各種手当の支給
  • 人間ドックの費用負担
  • 相談窓口の開設
  • 外部講師によるセミナーの実施

自社で対応できる福利厚生を増やすのも方法のひとつです。独自の福利厚生サービスがあると、他の企業と差別化を図れるというメリットがあります。

自社のカルチャーに合った福利厚生を導入し、企業イメージをアップさせましょう。

 

社外サービスを活用する

自社で対応するのが難しい場合は、社外サービスを活用しましょう。社外サービスには以下のようなものがあります。

  • スポーツクラブやジムの利用料補助
  • 旅行やアクティビティ利用料の割引
  • 財産形成サービスの提供
  • 育児支援サービスの導入
  • 食事補助

社外サービスを利用すれば、きめ細やかなサービスを受けられます。

自社の課題や従業員の希望に合ったプランを導入できるため、健康経営のやり方が分からない場合におすすめです。

また、自社で対応する必要がないため、新しい福利厚生を導入するにあたって従業員や経営陣の手を煩わせる心配もありません。

 

健康経営に適した福利厚生サービスの選び方

福利厚生サービスにはたくさんの種類があります。そのため、実際にどのような福利厚生サービスを導入しようか決めかねている方も多いでしょう。

ここでは、福利厚生サービスを選ぶ際のポイントを3つご紹介するので、サービス選びの参考にしてください。

 

生活習慣の見直しができるか

健康的な生活を送れていない従業員が多い場合、生活習慣の見直しに役立つ福利厚生サービスを取り入れてください。例えば以下のようなケースでは、生活習慣の見直しが大切です。

  • 食生活が乱れている従業員が多い
  • 不眠で悩んでいる従業員がいる
  • 喫煙者がいる

健康的な生活を営むためには、特に、食事の管理が重要になります。しかし、毎日忙しく過ごす中で、栄養バランスを考慮したメニューを考え、自分で調理するのは難しいでしょう。

こうした場合、お弁当の配達サービスやケータリングサービスを導入し、オフィスで手軽に健康的な食事が摂れる体制を作るのがおすすめです

 

メンタルケアができるか

厚生労働省が令和元年に実施した「労働安全衛生調査」では、「現在の仕事や職業生活に関することで強いストレスとなっていると感じる事柄がある」と答えた従業員の割合が58.0%になりました。

メンタルヘルスに問題を抱えている従業員は単純計算で2人に1人以上となっており、比較的多いといえるのではないでしょうか。

メンタルケアに適したサービスの一例には以下のようなものがあります。

  • カウンセリングの実施
  • メンタルヘルスに関するセミナーの開催
  • リフレッシュ休暇の導入

ストレスチェックテストの結果が望ましくない企業は、精神的な問題の解決に向けたサービスの導入も検討しましょう。

 

運動不足の解消を促せるか

健康生活を支えるのは、従業員の体です。運動不足に陥ると、生活習慣病の発症リスクが高まるだけでなく、うつ病や適応障害などの精神的な病にも繋がりかねません。

運動すると自律神経が安定し、心身の調和が保たれます。ストレス発散や身体機能の向上にも効果的です。従業員が運動不足になっている企業は、運動を促進するサービスを導入し従業員の心身の健康をサポートしましょう。

 

健康経営に最適な8つの福利厚生代行サービス

健康経営の一環として福利厚生を充実させるためには、従業員の健康状態や、健康経営の目的に合った社外サービスを選ぶことが大切です。サービスによって実施している内容やメリット、料金設定などが異なるため、サービス選びは慎重に行いましょう。

ここからは健康経営におすすめの福利厚生サービスを8つ紹介するので、ぜひ参考にしてください。

 

KIWI GO

株式会社:株式会社アジャイルウェア

KIWI GOは、アジャイルウェアが提供する福利厚生サービスです。アジャイルウェアは2022年の健康経営優良法人に認定されています。

 

KIWI GOは、従業員の運動促進をサポートするためのスマホアプリです。スマホにアプリをダウンロードして歩いたり運動したりすると、アプリが歩数を集計してくれます。

 

運動量に応じてコインが貯まり、貯めたコインはプレゼントに交換できるためゲーム感覚で運動を楽しめるでしょう。KIWI GOを使えば運動の成果が数字(歩数)として現れるため、モチベーションを維持しやすく、従業員の健康促進に最適です。

 

また、アプリを使用してイベント企画をしたり、同じ趣味の人と交流したりすることもできます。

従業員同士の交流をサポートする機能が充実しているため、職場の人間関係改善やコミュニケーション不足の解消にも役立つでしょう。

 

福利厚生倶楽部(リロクラブ)

出典:株式会社リロクラブ

福利厚生倶楽部は、リロクラブが提供する福利厚生代行サービスです。

運動、食事、レジャーなどあらゆるジャンルのサービスが整っており、手広く従業員の生活をサポートしたいときに適しています。

福利厚生倶楽部は、中小企業の福利厚生を大企業と同水準にすることを目的として、サービスを提供しています。

サービス規模は業界トップクラスとなっているため、エリアを問わずに利用できるのがメリットです。

また、オプションサービスも多いため、自社の課題に合ったサービスを選べば手厚くサポートできます。

 

WELBOX(イーウェル)

出典:株式会社イーウェル

WELBOXはイーウェルが提供する福利厚生サービスで、全国で約370万人が利用しています。

WELBOXもパッケージ型の福利厚生サービスで、企業のニーズや予算に応じて適用するサービスの期間や回数、オプションなどをカスタマイズできるのが魅力です。

取扱サービスは、旅行やレジャー、スポーツ、自己啓発など多岐にわたっているため、一度で幅広い問題に対応できます。

福利厚生代行サービスなので、企業側にはサービスの準備や提供の手間がかかりません。

 

ベネフィットステーション(ベネフィット・ワン)

出典:株式会社ベネフィット・ワン

ベネフィットステーションは、ベネフィット・ワンが提供する福利厚生サービスです。全国で1万2,000社が導入しています。

ベネフィットステーションは、従業員本人だけでなく家族も利用できるサービスが多数用意されているのが特徴です。

家族で利用できるサービスは140万件以上とされており、従業員が家族と共に、楽しく健康生活を営めるサービスになっています。

 

ライフサポート倶楽部(リソルライフサポート)

出典:リソルライフサポート株式会社

ライフサポート俱楽部は、リソルライフサポートが提供する福利厚生代行サービスです。サービス内容は、レジャーや財産形成、育児サポートなど多岐にわたります。

従業員数が101人以上であれば、1人あたり月額350円という低価格で利用できるのがメリットです。

福利厚生サービスを導入したいものの、費用は抑えたいという場合に最適でしょう。

また、費用は固定会費型ではなく補助金精算型になっているのも特徴です。

使った分だけが精算され、未使用分は返金される仕組みになっているので、無駄なコストを抑えて福利厚生の導入ができます。

 

OFFICE DE YASAI(KOMPEITO)

出典:株式会社 KOMPEITO

OFFICE DE YASAIは株式会社KOMPEITOが提供する福利厚生サービスです。

サービス開始から5年で、「3,500拠点で導入」「サービス継続率98.4%」の実績があり、高い人気を誇っていることが伺えます。

OFFICE DE YASAIの中心となるのは、「置き野菜・置き総菜」サービスです。

こちらのサービスでは、フルーツやサラダ、お惣菜、ドリンクなどが入った冷蔵庫をオフィスに設置します。

従業員は1つの商品を100円から購入可能です。コンビニに行くよりも手軽に、好きな時にいつでも健康的な食事を摂れるとして、多くの企業から注目を集めています。

 

えらべる倶楽部(JTBベネフィット)

出典:株式会社JTBベネフィット

えらべる倶楽部は旅行代理店JTBグループのJTBベネフィットが提供するサービスです。

旅行やレジャー、アクティビティ、スポーツクラブなど、日常生活の中で利用できる割引優待が1万点以上あります。

休暇を満喫したり、仕事後の時間を有効活用できたりするサービスが多いのが特徴です。

従業員のプライベートを充実させたいときや、心身のリフレッシュを促したいときに適しています。

なお、JTBベネフィットはベネフィット・ワンと2021年8月に合併したため、今後サービス内容や料金設定に変更が出る可能性があります。利用時は注意しましょう。

 

チケットレストラン

出典:株式会社エデンレッドジャパン

チケットレストランは、エデンレッドジャパンが提供する福利厚生サービスです。コンビニやレストランなど全国約6万の店舗で食事補助のサービスを受けられます。

サービスは、会計時に専用のカードを利用して支払いをするだけで適用可能です。社員食堂と異なり、利用時間に制限もないため、気軽に活用できるでしょう。

また、食事補助の費用は非課税対象となっているため、従業員の節税にも効果的です。

 

まとめ:福利厚生に健康経営を導入し健康をサポートしよう

福利厚生は、従業員の生活を支えるためのサービスです。福利厚生を充実させることは、健康経営にも繋がります。

健康経営に積極的に取り組めば、企業の生産性がアップし企業イメージも向上するでしょう。

健康経営のメリットを最大限享受するためには、自社の課題や従業員の希望に合ったサービスを取り入れることが大切です。

おすすめの福利厚生サービスや健康経営のメリットをご紹介した今回の記事を参考にして、自社に合う制度を導入してください。