ウェルビーイングを追求する働き方は、従業員の心身の健康を守る鍵です。数多くの企業がすでにウェルビーイングに関する取り組みを実施しており、注目している方は少なくありません。
しかし何をすればウェルビーイングが向上するのか、本当に取り組みの効果は出るのかといった不安もあるでしょう。
そこで本記事ではウェルビーイングに焦点を当て、従業員の幸福につながる働き方について解説します。従業員が持続可能で充実したキャリアを築けるよう、企業としてできることを探ってください。
目次
ウェルビーイングとは何か
ウェルビーイングとは、心身の健康や幸福感、人間関係や生活環境など、人々の生活の質を総合的に捉えた概念です。世界保健機関(WHO)の憲章では、ウェルビーイングを次のように定義しています。
「健康とは、病気ではないとか、弱っていないということではなく、肉体的にも、精神的にも、そして社会的にも、すべてが満たされた状態」
参考: 世界保健機関(WHO)
健康は単に病気や障害を持っていないだけでなく、心身ともに充実した状態を意味するものです。
またウェルビーイングは「生活の質を向上させ、社会の持続可能な発展に貢献する」とされており、健康を維持しつつ幸せな生活を送るための基盤です。
ウェルビーイングを高めることは、個人の幸福だけでなく、家族や地域、社会全体の健康や発展にも寄与します。
ウェルビーイングを意識した働き方が重要な理由
近年、ウェルビーイングを重視した働き方が企業や組織においてますます重要視されています。
背景には、従業員の心身の健康や幸福感が組織全体の生産性や業績にもポジティブな影響を与えるという認識が広がっているからです。
ウェルビーイングはビジネスと密接に関係しており、企業の競争力向上や持続可能な成長において重要な役割を果たします。
株式会社アドバンテッジリスクマネジメントの調査では、ウェルビーイングが高い従業員は仕事のパフォーマンスが向上し、クリエイティビティや革新性が高まるとわかりました。
参考:株式会社アドバンテッジ リスク マネジメント 顧客企業272社、28.8万人のメンタルデータを分析 従業員のウェルビーイングと生産性の相関が明らかに
また働き方改革を実践する企業では従業員の離職率が低く、新入社員の定着率や求人募集の充足率が高いことが厚生労働省の調査からも明らかになっています。
出典:厚生労働省 働き方改革を目的とした取組と離職率等の関係について
ウェルビーイングを意識した働き方は企業にメリットをもたらすだけでなく、従業員一人ひとりの幸福感や満足度につながります。
働き方に関わるウェルビーイング向上の取り組み
ここからは働き方に関わるウェルビーイング向上の取り組みを紹介します。
トップダウンで取り組みを推進する
ウェルビーイングを実現するためには、経営者やリーダーが積極的に取り組むことが必要です。
率先してウェルビーイングの重要性を認識し、組織全体にその価値を浸透させる役割を担ってください。
まずは経営者やリーダーが従業員の意見やニーズに耳を傾け、現場の声を把握することが大切です。
また経営者やリーダー自身が、ウェルビーイングを重視する働き方のロールモデルとなることが必要です。
自らの働き方やコミュニケーションを通じてウェルビーイングの重要性を示すことで、他の従業員にもその価値が伝わりやすくなります。
企業の働き方改革チームを設立する
ウェルビーイングの取り組みを成功させるためには、社内外での情報共有が欠かせません。
働き方改革チームを設立することで、企業は働き方に関する課題や解決策についてスムーズに検討できるようになります。
ウェルビーイングに関する取り組みを計画・実行し、効果を評価・改善する専門のチームを作成してください。
専門チームは社外に企業の取り組みを発信することで、企業イメージの向上や人材の確保につなげる役割を持ちます。
ウェルビーイングを重視する企業としてのブランディングを行い、優秀な人材を惹きつけてください。
フレックスタイムやテレワークを導入する
働く時間や方法の自由度を高めることで、従業員が自分のライフスタイルに合わせた働き方を選択できるようになります。
フレックスタイム制度では従業員が自分の都合に合わせて勤務時間を設定できるため、仕事と家庭を両立しやすくなります。
またテレワークを導入することで、自宅やカフェなど自分にとって最適な環境で働ける従業員が増えます。
通勤時間の削減や柔軟な働き方が実現すれば、従業員のストレス軽減や効率アップにつながります。
メンタル面でのサポートを行う
カウンセリングやストレスマネジメント研修など、従業員のメンタルヘルスをサポートする取り組みも重要です。
カウンセリングでは従業員が抱える悩みやストレスを専門家と共有し、解決策を見つける機会を提供します。
従業員のストレスが軽減され心のケアができれば、メンタルヘルスの向上につながります。
またストレスマネジメント研修を実施することで、ストレスに対処する方法やリラックス法を学べます。
従業員自身がストレスを適切にコントロールできるようになれば、心身の健康維持に役立ちます。
社内コミュニケーションを促進する
オープンなコミュニケーションを重視し社内での情報共有や意見交換を奨励することも、ウェルビーイングにつながります。
従業員が支え合える体制を作ることで一体感が増し、職場の雰囲気も良くなります。
企業はまず、従業員同士のコミュニケーションを促進するための環境整備を行ってください。
オフィスのレイアウト変更、社内チャットツールの導入、社内イベントの開催などはコミュニケーションを助ける効果的な方法です。
また従業員が気軽に相談や意見を述べられる風土を作ることも重要です。
上司や他部署との間で気軽に話せる時間を設け、フラットな組織構造を目指してください。
継続的な教育とスキルアップの機会を提供する
生き生きと働くため、スキルアップの機会を得たいと感じている従業員は珍しくありません。
企業として継続的な教育やスキルアップの機会を提供し、従業員の自己実現追求をサポートしてください。
社内研修の開催や外部セミナーへの参加、専門家によるコーチング、資格取得支援などが具体的な取り組みとして挙げられます。
また従業員同士で知識やスキルを共有する機会も重要です。
社内勉強会やワークショップを定期的に開催し、従業員が互いに学び合える環境を整えてください。
健康的な職場環境を整備する
従業員のストレス軽減や健康維持のため、職場環境にも気を配ってください。
自然光を取り入れる、休憩スペースを設ける、エルゴノミクスに配慮したオフィス家具を使用するといった取り組みが効果的です。
また必要に応じて運動をサポートする外部ツールを活用し、従業員の健康を積極的にサポートしてください。
ウェアラブルデバイスで従業員の運動量を把握したり、スポーツイベントを開催したりすることで、運動の機会を提供できます。
継続的な評価とフィードバックを行う
ただ取り組みを行うだけでは、次第に効果が薄まってしまう可能性もあります。
ウェルビーイングに配慮した働き方を持続的に実現するためには、継続的な評価とフィードバックが重要です。
定期的なミーティングやアンケートで改善点を見つけてください。
従業員からのフィードバックをもとに、組織全体でさらに効果的な施策を検討することも重要です。
継続的な評価とフィードバックで、理想的な働き方を実現してください。
企業におけるウェルビーイングの働き方の事例
ウェルビーイングに関して国内外の企業で実践されている取り組みには、さまざまなものがあります。
ここからは、企業の取り組みについてそれぞれ詳しく解説します。
デンソー
出典:株式会社デンソー
デンソーは愛知県を中心に自動車部品の製造を手がける企業です。
「従業員の健康は大切な経営資源」という理念のもと、健康経営・ウェルビーイングに力を入れています。デンソーは2016年から定期健診などのデータをもとに、従業員の健康状況の可視化に取り組んできました。
各部門に「健康リーダー」を置くことで、現場に適した取り組みをそれぞれ実施しています。
実際に健康リーダーが配置されることで、チームメンバーが互いの健康状態に気を配れるようになりました。
また常にサポートし合うことで社内コミュニケーションがスムーズになり、従業員がより働きやすい環境となりました。
これらの取り組みが認められ、デンソーは2021年に健康経営優良法人「ホワイト500」に選出されています。
PwC Japanグループ
監査業務やコンサルティング業務を行うPwC Japanグループは、1990年代にフリーアドレス制を取り入れた先進的企業です。
ウェルビーイングについては、要素をPhysical、Mental、Emotional、Spritualと捉え、総合的な視点から取り組みを行っています。
具体的な取り組みには、次のものがあります。
- 健康電話相談システムの導入
- マッサージルームの設置
- メンタルヘルス研修
またリモートワークを原則として多様な技術を取り入れることで、2021年5月時点の出社率が毎月30%以下となっています。
アシックス
出典:株式会社アシックス
アシックスは、ランニングシューズやスニーカー、競技用シューズを製造・販売する企業です。
スポーツ用品を取り扱っていることから、健康経営には特に注力しています。
同社の特徴的な取り組みは、従業員の健康状態を評価し、個々のプランを立てるための独自プログラム(ASICS HEALTH CARE CHECK)の開発です。
健康状態を可視化することで、適切なセルフケアにつなげています。
またメンタルヘルス研修、運動促進セミナーを開催することで健康意識向上を目指しています。
まとめ:ウェルビーイング向上には経営陣の動きが大切
ウェルビーイングは今後の働き方において重要な要素です。企業は従業員のウェルビーイングを注視し、無理なく実施できる取り組みから始めてください。
取り組みのなかで特に重要なのは、経営陣の動きです。経営陣がウェルビーイング実現の手本となり、社内の意識を高めてください。
ウェルビーイングに関する取り組みのなかで、現在話題になっているのが運動です。運動は心身の健康を維持し、ストレスや疲れを軽減させるのに効果的です。運動を習慣化することで心身のバランスが整いパフォーマンスも向上するため、ウェルビーイング実現にもつながります。
しかし従業員個人で運動を習慣化するのは難しいため、企業としてKIWI GOの導入を検討してみてください。
福利厚生アプリKIWI GOでは、ゲーム感覚で歩ける機能やイベント開催機能、チャット機能で楽しみながら継続できる環境を提供します。
KIWI GOを活用し、ウェルビーイング向上の一歩を踏み出しましょう。