今、多くの企業が健康経営の一環でもある「ホワイト500」に注目していることをご存じでしょうか。
従業員の健康増進を目的とする企業は、健康経営の指標である「健康優良企業」と「ホワイト500」の認定基準を満たすために日々努力してきました。
そこでこの記事は「ホワイト500」の基本知識と認定基準を解説し、認定を目指すうえでの注意点を紹介しています。
企業が取り組んでいる事例についても具体的に紹介しているので、ぜひ参考にしてください。
目次
健康優良企業が目指すホワイト500とは?注目される背景と基礎知識
「ホワイト500」とは健康経営優良法人に認定された企業の中でも上位に位置する企業のことです。
ホワイト500を理解するには「健康経営」とは何か「健康経営優良法人」とは何かという背景を知る必要があるため、まずは基本的な内容を見ていきましょう。
健康経営とは
健康経営は「労働者の健康保持・増進の取り組みが将来的に収益性などを高める投資だと考えて健康管理を経営的視点から考えて戦略的に実践すること」です。
もともとはアメリカの心理学者が提唱した「ヘルシーカンパニー」という概念を基にしています。
企業が労働者の健康を促せば従業員が健康に過ごせるだけでなく、結果として生産性や収益性の向上が期待できるため、お互いにWin-Winの関係を目指せます。
コロナ禍をきっかけに労働者がワークライフバランスを意識するようになったため、健康に重点を置く健康経営は今後さらに注目されるでしょう。
健康優良企業とは
健康優良企業とは、健康保険組合に参加している中小企業が健康企業宣言をし、かつ労働者への健康作りで一定の成果を挙げることで得られる認定制度です。
健康経営優良法人の認定を受ける為には、最初に健康企業宣言を行う必要があります。
しかし、大規模法人においてはその限りではなく「健康経営度調査」に回答して一定の基準に達していれば条件を満たすことができます。
参考:全国健康保険協会
健康経営優良法人とは
経済産業省が取り組んでいる健康経営優良法人認定制度に参加し、認定された企業のことを健康経営優良法人といいます。
「大規模法人部門」と「中小規模法人部門」の2つがあり、5つの大項目と関連する小項目を一定基準満たすことで認定されます。
認定されることで社会的な評価が上がるだけでなく、場合によっては銀行による金利や融資の優遇措置を受けられるといったメリットがあります。
ホワイト500とは
ホワイト500とは、大規模法人部門の中で行われる「健康経営度調査」の結果で上位500法人のみ認定される顕彰制度です。
認定される企業が増えるほど上位に入りにくいので、通常の認定制度よりも難易度は高くなっています。
ちなみに中小企業部門には、ブライト500という称号もあります。こちらは健康経営優良法人認定制度に取り組んでいる中小企業の中でトップ500に入る企業に贈られる顕彰制度です。
参考:健康経営の推進について 健康経営銘柄2022選定及び健康経営優良法人2022(大規模法人部門)認定要件
ホワイト500に認定されるメリット
従業員の健康管理に目を向けることは、決してボランティアではなく企業が成長するための投資として行うものです。健康優良企業となった後に健康経営優良法人に認定されることの具体的なメリットを解説します。
従業員の意識が変わる
ホワイト500に認定されることで従業員の意識が変わります。
認定されたことで社内での健康に対するモラル
が上がれば、施策の取り組みや目標を積極的に継続して実行するようになるでしょう。これにより、健康経営が社内全体の取り組みとして習慣化され、従業員が参加するイベントなどが充実するようになります。
求職者から注目されやすくなる
ホワイト500に認定されると就活生等の求職者からの認知度がアップし注目が集まりやすくなります。
ホワイト500に認定されていることが明らかになれば、求職者に「健康に働ける」という安心感を強く与えられます。
毎日健康に働ける職場環境は、ワークライフバランスという考え方とマッチし、とくに若い世代のニーズに合うといえるでしょう。
株価上昇の要因になる
ホワイト500に認定されると、投資家達からも評価されて株価が上昇するきっかけにもなり得ます。
こちらのデータから分かるように、健康経営への取り組みは株価上昇に繋がります。
厳しい認定基準を満たしている企業は「労働者に対して優しい企業」であることの証明になり、投資家から「これから成長が見込める企業だ」と好印象を持たれるでしょう。
担当者の評価が向上する
ホワイト500に認定されることは健康経営に携わった担当者の評価につながります。
健康経営の結果を数値化するのは難しく、担当者の評価につながりにくい側面があるのがデメリットです。しかし「ホワイト500の認定」というわかりやすい結果があれば、担当者の評価になり、健康経営に携わった役員達のモチベーションにつながるでしょう。
ホワイト500の取得に必要な5つの基準
「ホワイト500」に認定されるには健康経営優良法人として認定を受け、かつ大規模法人部門の中で上位500位に入る必要があります。ホワイト500を取得するための基準は5つあり、これらの中に小項目が複数あります。
出典:健康経営銘柄2023選定基準及び健康経営優良法人2023(大規模法人部門)認定要件
ここからは大項目に該当する5つの基準を解説します。
経営理念
経営者が目先の利益に捉われてしまうと、健康経営が上手くいかず逆効果になる可能性があります。
健康経営においては長く継続することが重要なので、長期的な視野で見つめて経営陣側が明確なビジョンを持つ必要があるでしょう。将来的に企業の成長につながることを意識して、従業員の健康に責任をもって介入する姿勢が重要です。
組織体制
健康経営に取り組む際には担当者を必要な数配置しなければいけません。また、役員以上の役職の人間が責任者となり、かつ産業医や保健師の関与と健保などの保険者と連携を取ることも条件に含まれます。具体的な施策をするためには、安定した組織作りが必要です。
制度・施策実行
制度・施策実行の認定基準には合計18個の小項目があり、2つの必須項目に加え、残りの16個中13個の項目を満たさなければなりません。
必須となっているのが「健康経営の具体的な推進計画」と「受動喫煙対策に関する取り組み」です。
自社の課題にフォーカスした施策も重要ですが、認定基準を満たすための条件もしっかりクリアできているか常に振り返る必要があります。
評価・改善
認定には、健康経営の取り組みを実施し、具体的に効果があったのか検証して修正と改善施策を繰り返すことが必須条件となっています。
必要に応じて一定年齢に達した従業員の健康診断の結果を保険者に提出する必要もあるため、データ管理も必要でしょう。
法令遵守・リスクマネジメント
法令遵守・リスクマネジメントでは、企業が法令に違反していないか、リスクマネジメントのため必要な取り組みをしているかが問われます。
必須条件として、定期的な健康診断の実施に加え、従業員が50人以上いる場合はストレスチェックの実施義務があります。義務を果たしていないと法令違反となるので、注意が必要です。
ホワイト500申請のスケジュールと流れ
ホワイト500に認定されるには、企業側からの申請が必要です。ここからは年間のスケジュールと申請までの流れを解説するので、ぜひ参考にしてください。
申請スケジュール
企業が「健康経営度調査」に回答し、申請できる期間は8月から10月の間です。
その後審査期間を経て内定が来るのが2月頃となり、正式認定は3月頃です。提出期限が過ぎても延長はないので注意しましょう。
また、健康経営優良法人に申請し認定されるまでには、約2年間の期間があります。
例えば「今年から健康経営に取り組みホワイト500の認定を目指す」とした場合、1年間実際に取り組みをした後に申請する必要があります。
そして、申請して発表されるのにさらに約半年かかります。認定を目指すなら、早い段階からの準備が必要です。
申請までの流れ
スケジュールを把握したら、申請するまでの具体的な流れを知る必要があります。一定の基準を満たさないと申請しても審査まで進めないので、注意が必要です。
申請までに以下4つのステップを踏む必要があります。
- 健康経営度調査に回答する
- 回答結果で上位50%に入る
- 申請用紙を提出する
- 審査を受ける
はじめに、企業の健康管理への施策や成果を示すために「健康経営度調査」に回答します。企業を分析するために必要な判断材料を提示するための重要な書類なので、丁寧に記載しましょう。
回答した「健康経営度調査」の結果で、最初に「健康経営優良法人」に認定されることが「ホワイト500」への第一歩になります。
そして、後日届くフィードバックシートの結果が上位500位以内になると、「ホワイト500」に認定されます。ホワイト500の認定基準をクリアした場合、フィードバックシートに同封されている「適合状況兼申請用紙」を提出します。
提出後は約2ヶ月の審査期間があります。一般的には毎年2月頃に内定の連絡があり、3月頃に正式な認定となります。
ホワイト500を目指す際に意識すべきポイント
ホワイト500は健康経営を進める上で目指すべき目標ですが、上位500位以内に入ることは簡単なことではありません。ホワイト500を目指す前にポイントをおさえ、前向きに認定を目指しましょう。
調査項目が多く認定基準が厳しい
ホワイト500に認定されるのは、大規模法人部門での上位500位社のみです。そのため、認定基準はのハードルは中小規模法人部門よりもハードル高いといえます。
出典:健康経営銘柄2023選定基準及び健康経営優良法人2023(大規模法人部門)認定要件
中規模法人部門と比べ、ホワイト500では「3.制度・施策実行」の項目での必須事項と満たすべき小項目の数が多いです。1つでも見落としがあると、それだけで認定基準を満たせない可能性もあるでしょう。これらの基準を自社でクリアできるのか、一度検討することをおすすめします。
継続した実績が必要になる
認定基準は固定ではなく、定期的に見直しが行われ内容が変わります。このため、ホワイト500に認定される企業の入れ替わりは激しく、認定を受け続けるのは難しいです。
また、健康経営に対する意識の高まりにより、新規参入の企業は今後増えていくと予想されるため、翌年以降さらに競争率が上がる可能性は高いでしょう。
一度ホワイト500に選ばれた場合でも、「今までと同じように施策を繰り返せば安泰」と考えるのは危険です。
認定基準も毎年見直されるため、必要な情報を収集し有効な施策が取れているか繰り返しチェックしながら健康経営を継続しましょう。
健康経営に効果的な取り組み
ゼロから健康経営を手探りで始めるより、すでに結果を出している企業を手本とすることで効率的に施策を進められます。ここからは健康経営に効果的な施策を6つ紹介します。
スポーツイベントの実施
ある企業では社内でスポーツイベントを開催し従業員に運動習慣を促す取り組みをしています。
例えば「スポーツクラブの会費を補助する」「社内クラブの部費を補助する」「マラソン大会の実施」が挙げられます。
企業の中にはリゾートホテルを予約したのち魚釣りなどのスポーツイベントを開催し、従業員とその家族も楽しめるような取り組みをしています。このような働きかけによって、従業員が外出する機会をサポートしています。
福利厚生の見直し
テレワークや育児、介護による時短勤務制度の拡大といった労働者のニーズに応える施策も、健康経営に効果的です。
子育て世代が多い企業では、子どもの体調不良で保育園へ預けられない時に、提携企業経由で希望者にはベビーシッターの費用の半分を負担し、経済的な負担が軽くなるようにサポートをしています。
他にも働きやすい環境を整えるために「自分で早く帰る日を決める日を決める」期間を設けて労働時間の見直しをしている企業もあり、私生活と仕事の両立が可能です。
疾患予防と食生活の見直し
ある企業の施策では、疾患予防では人間ドックの受診助成、社員食堂での低カロリー食の提供といった取り組みをしています。
さらに食生活に関しては、チケットレストランというサービスを導入して、社員食堂を利用しない従業員にも食生活の見直しをするきっかけを与える取り組みをしています。
疾患予防への具体的な取り組みでは、健康維持のためのセミナーの開催や禁煙の促進をしています。
他にも、メンタルヘルス対策として「心身の悩みを相談できる窓口」や「ストレスチェックの集団分析」など健康障害を予防するための施策があり、従業員の健康増進に力を入れています。
健康増進施策の実施
さまざまな企業が「健康作り」のためにイベントやキャンペーンを定期的に開催し健康維持を図っています。
例えば「専門家によるオンライン健康セミナー」や「定期的なウォーキングイベントの開催」などを実施し、運動の習慣化を図っています。
さらに在宅勤務の従業員に向けて「自宅でできる運動キャンペーン」を動画配信で行い、コロナ禍においても実施できる施策を提供している企業も少なくありません。
労働時間の見直し
長時間労働が課題となっている企業では、残業の申請制度を導入することで抑制を図っています。
また、ただ休ませるだけでなく、労働時間の多い人の作業量を把握し削減できるものがないか、優先度の低いものまで仕事を抱え込んでいないかなどを調査し把握。
問題点を具体的に可視化することで、作業の分担やチームでフォローするといった労働環境を整えて長時間労働者を減らしています。
ポイント制度による運動の促進
従業員へアクションを促すために、報酬を与えている企業もあります。企業が指定した取り組みを実施するとポイントが付与され、貯まったポイントを商品と交換できる仕組みです。
例えば「毎日ラジオ体操する」「企業が主催する健康セミナーに参加する」「ウォーキングイベントへの参加」などがあり、これらを実行するとポイントが付与されます。
このようにポイントをうまく活用し、従業員へ健康作りへの取り組みに参加するきっかけを与えている企業もあります。
まとめ:ホワイト500認定を目指して健康経営を浸透させよう
ホワイト500に認定されることは、健康経営で成果を挙げたという指標となります。
ホワイト500に認定されれば、従業員が健康になるだけでなく企業のブランドイメージも上がり、お互いにWin-Winな関係を築くことができます。まずは健康経営優良法人の認定を目指し、健康経営を進めましょう。
具体的な取り組みの1つとして、従業員の運動習慣をサポートするサービス「KIWI GO」の活用もおすすめです。
KIWI GOは従業員の運動不足を解消するために開発されたサービスです。歩数や運動でポイントがたまるので、ゲーム感覚で運動の習慣化を促せるでしょう。
アプリ内で共通の趣味を持った仲間を作ることもできるので、コミュニケーションの促進にもつながります。
運動の習慣化やコミュニケーションの活性化を促したいなら「KIWI GO」の導入を検討してはいかがでしょうか。