健康経営に関する制度としては健康経営優良企業認定制度が有名ですが、健康保険組合連合会東京連合会(東京連合会)が認定する「健康優良企業」も存在します。

この記事では、健康優良企業の認定条件や認定までの手順、健康優良企業を目指した取り組みを行うメリットなどを解説します

健康優良企業を目指す企業の方はぜひ参考にしてください。

健康優良企業とは

健康優良企業とは、企業全体で健康づくりに取り組むことを宣言し、健康保険組合連合会東京連合会(東京連合会)から一定の成果が認められた企業のことです。

健康優良企業に認定されると実績に応じて「銀の認定証」や「金の認定証」が発行され、健康優良企業として登録されます。

認定された企業には健康優良企業ロゴマークを使用する権利が与えられ、自社の名刺や広告などにロゴマークを入れることが可能です。

健康優良企業に参加できるのは、東京都内の健康保険組合に加入している企業です。参加を希望する企業の方は、東京連合会のページを確認してください。

参考:東京連合会 「健康企業宣言」と「健康優良企業認定制度」について

 

「銀の認定証」と「金の認定証」とは

健康優良企業には銀の認定証と金の認定証があり、銀の認定証を入手した後、金の認定証を目指す仕組みになっています。

銀の認定証をもらうには、健康増進につながる基本的な環境を整える必要があります。

そして、金の認定証では、健診・重症化予防や感染症予防対策など安全衛生にも取り組む必要があります。

取り組み内容が認められると銀の認定企業、金の認定企業として公表・登録され、「銀の認定証」「金の認定証」が発行されます。

認定後、健康優良企業ロゴマーク、認定ロゴマークが使用可能です。

 

「宣言の証」とは

健康優良企業になるためには、まず健康企業宣言をする必要があります。健康企業宣言とは、健康優良企業を目指し、健康に関する取り組みを行うと公的に宣言することです。

健康企業宣言はStep1とStep2に分かれており、まずはStep1から取り組みます。

Step1では、100%健診受診の宣言に加え、以下の6つの項目について取り組むことを宣言します。

  1. 健診結果活用
  2. 健康づくり環境の整備
  3. 運動
  4. 禁煙
  5. 心の健康

 

また、Step2では、以下の取り組みを宣言をします。

  1. 健診・重症化予防
  2. 健康管理・安全衛生活動
  3. メンタルヘルス対策
  4. 過重労働防止
  5. 感染予防対策
  6. 健康経営

 

健康企業宣言を行うと「健康企業宣言 宣言の証」が発行され、宣言の内容を公表できます。

健康への取り組みをしている企業と認知されれば、企業イメージの向上に繋がります。

また、宣言を社内に広報すると健康経営に関する取り組みが周知され、社員一人ひとりの健康意識も高まります。

参考:東京連合会 「健康企業宣言」と「健康優良企業認定制度」について

 

健康経営優良企業との違い

健康優良企業と似た制度には、健康経営優良企業があります。両者は会社の健康づくりに取り組む観点では同じですが、運営する組織団体が違います

健康優良企業は、健保連東京連合会が中心となって運営している一方、健康経営優良法人関連の制度を運営しているのは、主に経済産業省です。

また、健康優良企業は東京都内の健康保険組合に加入する企業のみを対象とした制度ですが、どの保険者に加入していても健康経営優良法人制度に参加することは可能です。

 

健康優良企業と健康経営優良法人との関係

経済産業省が推進する「健康経営優良法人認定制度」と健康優良企業は直接関係している訳ではありません。

健康優良企業として認定されていなくても、健康経営優良法人になることは可能です。

ただし、「健康経営優良法人認定制度(中小規模法人部門)」を利用するには、加入している保険者(協会けんぽ、健康保険組合連合会、国保組合など)が実施する健康宣言事業に参加しなければいけません。

健康宣言事業とは、企業全体で従業員の予防・健康づくりに取り組むと自ら宣言することです。

健康宣言事業は全国で幅広く行われており、加入している保険者によって名称が異なります。

東京連合会が行っている健康宣言事業では企業による宣言を「健康企業宣言」と呼び、対象を東京都内の健康保険組合に加入している事業者に絞っています。

まずは自社が加入する保険者がどのような健康宣言事業を行っているか、確認してください。

加入している保険者によっては、健康宣言事業を行っていない場合もあります。健康宣言事業が行われていない場合、各自治体が実施する健康宣言事業への参加で代替可能です。

加入している保険者も自治体も健康宣言事業を行っていない場合は自社独自の宣言で認められるケースもあるため、健康経営優良法人認定事務局に相談してください。

参考:経済産業省 健康経営優良法人の申請について

 

健康優良企業認定の基本的な流れ

健康優良企業に認定されるまでには決められた順番があるため、ここからは健康優良企業に認定されるまでの基本的な流れについて紹介していきます。

 

ステップ1:自社の健康課題を確認する

まずは自社の健康課題を確認します。

東京連合会が配布する以下の「健康企業宣言チェックシートStep1」を使用し、自社の現在位置を確認しましょう。

参考:東京連合会 健康企業宣言チェックシートStep1

 

ステップ2:健康企業宣言の応募用紙を提出する

健康課題を確認した後、所定の応募用紙を加入している健康保険組合へ提出します。

応募用紙については、以下の「健康優良企業認定制度実施要領」を確認してください。

参考:全国健康保険協会 健康優良企業認定制度実施要領

 

基本的な様式は同じですが、加入する健康保険組合によって少し書き方の異なる部分があります。

申請の際は、加入する健康保険組合に問い合わせましょう。

 

ステップ3:「健康企業宣言 宣言の証」をもらう

応募用紙を提出すると、健康企業宣言したとして登録され「健康企業宣言 宣言の証」が健康保険組合より送付されます。

健康企業宣言したことを社内外に知ってもらうため、宣言の証を社内掲示や広報等で告知しましょう。

 

ステップ4:銀の認定に向けて取り組む

健康企業宣言を行った後は、まず銀の認定に向け健康課題改善に取り組みます。

ステップ1で紹介した「健康企業宣言チェックシートStep1」の内容を元に、課題解決を目指してください。

銀の認定証を獲得するためには、チェックシートの達成基準を満たす必要があります。

 

ステップ5:実施結果のレポートを提出する

「健康企業宣言 宣言の証」の発行日から概ね1年経過後、「実施結果レポート」を健康保険組合へ提出します。

宣言後6ヶ月以上取り組んだ段階で宣言の内容が達成できた場合、その時点で実施結果レポートを提出できます。

 

ステップ6:審査・認定を受ける

実施結果レポートを提出した後は、以下の健康企業宣言Step1の採点基準を元に東京連合会による審査を受けます。

出典:東京連合会 健康企業宣言Step1採点基準

審査の結果、達成基準を満たした企業に「健康優良企業 銀の認定証」が発行され、認定企業として登録されます。

 

ステップ7:金の認定証へ挑戦する

健康優良企業 銀の認定を受けた企業は、金の認定に向け改めて健康企業宣言を行うことが可能です。

健康優良企業としてさらなる実績を得たい場合、ステップ1に戻り、続けて金の認定証を目指しましょう。

金の認定では、チェックシートや採点基準が銀の認定と異なります。取り組む前に以下の資料を確認しておきましょう。

参考:東京連合会 健康企業宣言チェックシートStep2

参考:東京連合会 健康企業宣言Step2採点基準

 

健康優良企業を目指すメリット

ここでは、健康優良企業を目指すうえで得られるメリットについてそれぞれ解説します。

 

健康管理に対する意識が変わる

健康企業宣言をすることで「健康企業宣言 宣言の証」が発行され、健康経営の取り組みについて周知しやすくなります。

従業員に企業が健康宣言を行ったことが周知されれば、従業員の健康意識も向上します。

健康促進に関する目標を社員と共有することで、全員が一丸となり取り組みを実施できます。

 

パフォーマンスが上がる

健康優良企業を目指す過程で社員の健康状態が改善されれば、仕事へのモチベーションが上がり、社員のパフォーマンスも向上します。

仕事を頑張りたいと考えていても、「体調が悪く仕事に集中ができない」「仕事に対しやる気が起きない」などのトラブルを抱える社員は少なくありません。

そうした社員の健康問題を解決すれば、社員自身が存分に力を発揮できるようになり、業務効率も上がります。

また、社員が会社や仕事に良い印象を持つようになり、職場の雰囲気も改善します。

 

企業イメージが向上する

会社が健康問題に取り組むことを公式に宣言すれば、企業イメージが向上します

現在、求職者、株主、取引先の多くが企業が健康に関する取り組みをしているかどうかを重視しています。

以下は、就活生と就活生の親が企業のどのような点を重視しているか示した資料です。

出典:経済産業省 健康経営の推進について

グラフを見ると、会社が健康や働き方に配慮しているかどうか確認する就活生、就活生の親が非常に多いとわかります。

また、健康に関する取り組みをビジネスに反映させる株主や取引先もいます。

以下は、経済産業省の「健康経営銘柄について」の中で紹介されている資料です。

出典:経済産業省 「健康経営銘柄」について

このグラフからは、健康経営の実績が優れている企業ほど株主に注目され、株価が上昇していることがわかります。

健康優良企業に関する取り組みで自社の社員が健康になり、対外的なイメージも向上すれば企業の持続的な発展に繋がります。

 

健康優良企業を目指す際のポイント

ここからは、健康優良企業を目指す際のポイントを紹介します。

 

施策の効果を数値で把握する

健康経営の取り組みをしていくうえでは、効果を数値化する必要があります。

例えば、健康のため禁煙セミナーを開催する場合、セミナーを開催するだけで取り組みを終えてしまうと本当に効果が出たのか把握できません。

効果の実態を調べるには、セミナー前後の喫煙者の人数を把握するなどして客観的なデータで検証を行うことが大切です。

 

従業員に取り組みを理解してもらう

定期健康診断やストレスチェックの実施、健康イベント・セミナーへの参加など社員の時間を拘束する取り組みを行うと仕事に影響が出るため、不満につながるケースもあります。

取り組みを行ううえでは、従業員への説明をしっかり行い、理解や同意を求めることが大切です。

健康イベントやセミナーを開催する場合であれば、開催する理由や背景などを事前に説明し、理解を求めておくと社員の不満も軽減できます。

 

従業員の健康意識に寄り添う施策を考える

禁煙やダイエットなどの成功者に対しインセンティブを設ける制度は有効ですが、対象の従業員が限定されるため、不満につながることもあります。

社員1人1人の健康課題は異なるため、多様な制度を用意し社員が自身に合った制度を選べるようにすることが大切です。

複数の制度を用意するのが負担になる場合、外部の福利厚生サービスを利用するなどして工夫しましょう。

 

まとめ:健康企業宣言を行い健康優良企業を目指そう

健康経営が広まるなか、健康優良企業が注目されています。

健康優良企業になるには規定の基準をクリアする必要がありますが、健康優良企業を目指し積極的に取り組みを行うことで、従業員の健康意識向上、イメージアップにつながります。

健康優良企業になるためには、健康企業宣言を通じ企業全体で健康づくりに取り組む旨を宣言する必要があります。

まずは東京連合会が公表しているチェックシートで現在の課題を把握しましょう。

 

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導入前のトライアル制度もあるため、従業員の健康が気になる企業はぜひ検討してください。