近年、働き方改革の影響や、新型コロナウィルスによって非対面・非接触型への対応が求められるようになりテレワークを導入する企業が急増しています。
テレワークは、通勤時間の削減などのメリットがある一方で、テレワークによって「従業員の健康状態が把握できない」「従業員が運動不足になった」などの健康課題が明らかになっています。
健康経営に取り組んでいる企業において、テレワーク導入による健康課題は軽視できない問題です。
そこでこの記事ではテレワークがもたらす健康課題を解説するとともに、従業員の健康を増進する施策を紹介します。
従業員がテレワークでも健康な状態で業務に取り組むことができる環境を目指しましょう。
目次
テレワークを導入する企業が急増
2020年、新型コロナウイルス感染拡大により緊急事態宣言や外出自粛などの行動制限が行われ、テレワークを導入する企業が急増しました。
国土交通省がテレワーク人口実態調査をした結果が、次の資料です。
業種全体で見ると2020年のテレワーク実施率は23.0%となっており、2019年の14.8%を大きく上回っています。
特に情報通信業ではテレワーク実施率が過半数の66.1%となっており、テレワークの導入が進んでいます。
4Gから5Gへの通信環境の変化やIT技術の発展、コロナ禍の影響により今後もテレワークを導入する企業は増加すると予測されます。
健康経営施策を見直そう!テレワークが招く健康課題とは
テレワークには、交通費の削減・オフィス賃料の削減・多様な人材の確保・業務効率の向上など様々なメリットがあります。一方、テレワークの実施によって健康課題が発生している企業も見受けられます。ここからはテレワークの働き方で起こりうる健康課題について紹介します。
運動不足により身体活動が低下する
テレワークを導入すると会社に通勤する機会が減り、『歩く』動作が減少します。
株式会社日経BPは、タニタ・タニタヘルスリンク提供データをもとにオフィス勤務とテレワーク勤務の場合で1日の歩数を比べました。
出典元:株式会社日経BP(新型コロナウイルスに伴う健康二次被害を予防するための提言)
本調査からテレワークでは、オフィス勤務に比べ1日あたりの平均歩数が50%以上減少していることが分かります。
コロナ禍で多くの企業がテレワークを導入した結果、「コロナ太り」という言葉も流行したように、テレワークによって体重が増加してしまったことに悩んでいる従業員は少なくありません。
さらに、歩く動作が減少すると身体機能が低下し、高血圧などの健康問題につながる可能性があります。
孤独感や不安感が増大する
テレワークの導入によって、社内交流の場が減り、孤独感や不安を抱く従業員が増加しています。
出社して顔を合わせている状態であれば、雑談などのコミュニケーションができていましたが、テレワークの場合、そういった機会が必然的に減ってしまいます。
その結果、従業員本人も気づかないうちに孤独感や不安感が高まってしまっているケースもあります。
孤独感や不安感が強まると、最悪の場合うつ病・パニック障害・不安障害・適応障害といった精神疾患につながる可能性があります。
エン・ジャパン株式会社では、テレワークで働いた経験のある約1万人に対し、テレワーク時の不安についてアンケート調査を実施しました。
アンケートの結果より、テレワークで働く従業員は、「会社内で働く時と同じ働き方ができるのか」「仕事とプライベートを切り分けられるのか」など様々な不安を抱えながら業務に取り組んでいることがわかります。
安心して業務に取り組んでもらうため、企業はテレワークで働く従業員の不安を解消するための取り組みを行っていく必要があるのです。
モチベーションが低下する
テレワークを導入すると、従業員のモチベーション管理に課題が発生します。
株式会社学情では、在宅勤務・テレワークによる若手従業員への影響に関して、企業の人事担当者を対象にアンケートを実施しました。
出典:株式会社学情(人事担当者対象/若手社員のテレワークに関する調査)
在宅ワークやテレワークを実施した結果、人事部が最も多く感じた課題は、「従業員のモチベーションの状態がつかみにくい」ことでした。
従業員のモチベーションが確認しにくい状態では、気力の少ない従業員に仕事を多く割り振ってしまうなど、さらなるモチベーション低下につながる可能性があります。
健康状態の把握が難しくなる
従業員が出社していれば、直接顔を合わせることで顔色や雰囲気、表情などから従業員の体調の変化に気付くことができます。
しかしテレワークでは健康状態の把握が困難となり、気付かぬうちに従業員の健康状態が悪化することも少なくありません。
身体的な不調であれば健康診断で発覚する可能性もありますが、メンタル面の不調は非常に把握しにくく、突然の休職や退職につながる場合もあります。
労働時間や仕事量が見えにくくなる
テレワークを導入すると従業員が実際にどのくらい働いているか、把握しにくくなります。業務に集中して取り組むことができていない従業員もいれば、業務とプライベートでメリハリをつけられず過剰に働いてしまう従業員もおり、個々人の業務量を調整することは困難です。
また、従業員自身も「会社側からサボっていると思われそうで不安」と悩んでしまうケースもあります。
株式会社ヌーラボは、「テレワークと“サボり”の関係性に関するアンケート調査」を実施しました。
出典元:株式会社ヌーラボ(テレワークと“サボり”の関係性に関するアンケート調査)
アンケート調査から、20代のテレワークで働く従業員の約2人に1人は、テレワークでサボっていると疑われることをストレスに感じるという結果が分かります。
テレワークで企業が仕事の状況を把握できない状況は、従業員にとってもストレスにもつながってしまうと言えるのです。
テレワークによる健康課題を解決する健康経営施策
ここからは、テレワークによる健康課題を踏まえ、解決のための施策事例を紹介します。
運動不足を解消する施策
テレワークによる運動不足解消を促すのに効果的な施策を紹介します。
運動不足の解消は従業員個人のモチベーションに左右される要素が大きいですが、企業として取り組めることが以下の施策です。
運動促進サポートシステムの導入
運動不足になりがちなテレワークでは、サポートシステムを活用し運動を促進するのが効果的です。
システムにより異なりますが、現在は次のような機能を持つサポートシステムがリリースされています。
- 歩数に応じてコインが貯まる
- おすすめの運動内容を提案する
- 運動のやり方をレクチャーする
自社の課題に沿って、最適なアプリを探してみてください。
ながら運動の推奨
「ながら運動」とは何かをしながら、ちょっとした運動をすることです。
テレビを見ながら、仕事をしながら、洗濯物をたたみながら、料理をしながらなど、さまざまなシーンで体を動かし運動します。
企業がながら運動を推奨すれば、時間の取れない従業員も運動しやすくなります。ながら運動に関するプログラムを作り、導入することをおすすめします。
福利厚生の見直し
福利厚生を上手く活用することで、運動不足の解消に繋がります。運動不足の解消に効果的な福利厚生には、次のようなものがあります。
- スポーツ優待券の配布
- 運動施設利用時に関わる費用の補助
- オンライン健康セミナーの開催
- 健康運動手当の導入
従業員の運動不足の解消に取り組むため、独自の福利厚生を作るのもおすすめです。
メンタル面の不調を改善する施策
テレワークでは、孤独感や不安などメンタル面の不調が課題です。従業員のメンタルを安定させる施策を導入し、従業員の健康を支えましょう。
産業医による面談やセミナーの実施
テレワークで働く従業員のメンタル面をケアする取り組みとして、産業医による面談やセミナーの実施などの施策があります。
味の素株式会社では、産業医9名産業保健スタッフ13名という体制でセルフケアの徹底と充実のサポート体制を取り、年に1回は国内全従業員と面談を実施しています。
参考元:味の素株式会社(味の素グループ サステナビリティデータブック 2017)
産業医など専門スタッフに相談や健康サポートが受けられる体制があると、従業員のメンタルケアに繋がります。
産業医や専門スタッフへ簡単に連絡できる体制を整え、早い段階でメンタルの問題を解決することが大切です。
バーチャルオフィスの導入
バーチャルオフィスとは、実際の仕事場にいるような感覚で働ける仮想空間です。
以下はエン・ジャパンがコロナ禍で利用したバーチャルオフィスの画像です。
出典:エン・ジャパン
自身のアバターを作成した状態で他のアバターに近づけば会話が可能なうえ、他の従業員同士の会話も聞くことが可能です。
また、会議をしているか、休憩しているかなど従業員の状況もバーチャル空間でリアルタイムに把握できます。
バーチャルオフィスの市場は、テレワーク導入が増加した影響もあり急速に拡大しています。
以下は、株式会社ITRがバーチャル市場の予測値を表したグラフです。
出典:株式会社ITR
2019年から2020年の間、バーチャルオフィス市場の規模は約3倍に増加したことが分かります。
バーチャルオフィスはテレワークで働く従業員の不安感やコミュニケーション不足による孤独感を減らし、仕事へのモチベーションを向上させます。コミュニケーション不足に悩む企業は、バーチャルオフィスを検討してください。
健康状態・仕事量を管理する施策
従業員が無理せず働ける環境を作るには、企業側が健康状態や仕事量を正しく把握する必要があります。
健康状態を調べるアプリの導入
テレワークで働く従業員の健康状態を知るためには、アプリの活用が有効です。
利用するアプリにもよりますが、最適なシステムを導入することで以下のようなメリットが得られます。
- 従業員がアプリで健康状態を報告できる
- 従業員の健康状態をデータで把握できる
- 体調不良が発生した場合に従業員がアプリを通して報告できる
慣れないテレワークでは、従業員が自身の不調に気付けないケースも少なくありません。従業員の異変にすぐ対応できるようなアプリを導入し、早い段階で健康問題を解決しましょう。
勤怠管理ツールの導入
業務量の正しい把握は、無理のない労働につながります。テレワークでも正確に労働時間を管理できる勤怠管理ツールを導入し、従業員が過剰な業務を抱えないようにしましょう。
勤怠管理ツールの例として、jinjer株式会社の『ジンジャー勤怠』があります。
『ジンジャー勤怠』では労働時間や有給休暇、シフトを一元管理し、無駄な工程を減らしつつ従業員の状況を把握できます。
出典:jinjer株式会社
『ジンジャー勤怠』以外にも、勤怠管理ツールはたくさんあります。必要なものを導入し、従業員の状況を把握しましょう。
テレワークの課題解決にはKIWI GOがおすすめ
出典:KIWI GO公式サイト
テレワークにおける健康課題を解決するには、『KIWI GO』がおすすめです。
KIWI GOは従業員の運動不足やコミュニケーション向上を目的とし、実際の健康課題に対する取り組みをベースに開発されたアプリです。
ここからはKIWI GOができたきっかけと機能について、解説します。
KIWI GO誕生のきっかけ
KIWI GO誕生のきっかけは、開発元である株式会社アジャイルウェアが社内向けに行った取り組みです。
株式会社アジャイルウェアは2020年2月にリモートワークを開始しましたが、テレワーク導入前と比べ社長の体重が10キロほど増加。社長自身がリモートワークによる運動不足を実感し、従業員の健康に向けた取り組みを始めました。
株式会社アジャイルウェアが行った取り組みは、次のとおりです。
- 全従業員にスマートバンドを配布して自分の運動量を知ってもらう
- 一定以上カロリーを消費する運動をしていたら「運動不足解消手当」を支給
- KIWIGOのアプリを通じてポイントに応じてガチャができるシステムを導入
取り組みの結果、従業員の運動量は70%アップしました。結果を受け、他の会社の健康問題にも応用できるのではと開発されたのが、運動習慣化サービス「KIWI GO」です。
KIWI GOの機能と特徴
KIWI GOには、個人の運動モチベーションを維持し習慣化するための仕掛けが多数用意されています。
例えば従業員にやる気を持ってもらうため、歩数に応じてコインを獲得し景品と交換できるシステムが導入されています。
歩数はスマートバンドを装着するだけで簡単に装着できるため、負担も少ないと言えます。
そして運動するきっかけをつくるため、KIWI GOでは共通の趣味を持つ仲間と交流・マッチングされるギルド機能を搭載しています。
ギルド機能を利用することでスポーツイベントの開催・参加ができるため、従業員同士で楽しみながら運動できるきっかけになります。
紹介した以外にも、KIWI GOにはさまざまな機能や特徴があります。従業員の健康管理やコミュニケーション不足にお悩みの企業は、KIWI GOのホームページをご覧ください。
公式ホームページ:KIWI GO
まとめ:テレワークが招く健康課題を考慮して健康経営に取り組もう
コロナ禍の影響により、緊急事態宣言や外出自粛などの行動制限が行われ、テレワークを導入する企業が急増しました。
今後もITの進化や通信環境の変化により、テレワークを導入する企業は今後も増加すると予想されています。
しかし、テレワークの導入により、従業員の運動不足による身体機能低下、メンタル面の問題などの健康課題が見つかっています。
健康経営に取り組みつつテレワークを導入する企業は、目に届かないところで働く従業員の健康管理により注意を払わなければいけません。
健康課題を解決するには、必要なツールやシステムを導入し、従業員の状況を可視化することが大切です。必要なツールを検討・利用してください。